辻井伸行 × 三浦文彰 ARKシンフォニエッタ 〈モーツァルト&ベートーヴェン〉

若手スターたちの競演で二大作曲家の名協奏曲を披露

左:辻井伸行 右:三浦文彰
(c)Yuji Hori

 昨秋実現した、ピアノの辻井伸行とヴァイオリンの三浦文彰を中心とする音楽祭「サントリーホール ARKクラシックス」では、名演奏家たちが集い、ソロから協奏曲まで、ウイルス禍の不安を吹き飛ばすような快演が連続した。殊に両名の協奏曲は、彼らの繊細な美音、瑞々しくも深い表現が発揮された名演だった。特筆すべきは三浦の指揮で、ヴァイオリン協奏曲は自らの弾き振り、ピアノ協奏曲は指揮者として辻井を絶妙にサポート。鋭く的確な動きで各パートの表現意欲を引き出す指揮ぶりで、流れもバランスも万全、瑞々しい演奏を構築し、今後の指揮活動への期待も高まったのである。名プレイヤーたちで構成された室内オーケストラ「ARKシンフォニエッタ」も、常設団体と比べても何ら遜色ない、盤石の演奏を作り上げていた。

 そして今夏、「辻井伸行 × 三浦文彰 ARKシンフォニエッタ」が東京と大阪で開催され、彼らの協奏曲の再演を体験できることになった。曲目は昨年と同じく、ヴァイオリンはモーツァルト第3番とベートーヴェン唯一の傑作、ピアノはモーツァルト第21番とベートーヴェン第5番「皇帝」。ウィーン古典派二大作曲家の4つの名協奏曲を、カップリングを替えて2曲ずつ、5公演でたっぷり聴かせる。同演目をあえて継続することでより深奥まで追求し、完熟の演奏を実現したいという意欲が強く感じられる。昨秋体験できなかった聴衆にとっては嬉しい好機だし、追体験の聴衆には若きスターたちの覚悟を見届ける大切な場となる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年5月号より)

*新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の延長及び大阪府の要請に従い、6月6日のフェスティバルホール公演は中止となりました。(5/29主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2021.6/4(金)19:00、6/5(土)14:00、6/8(火)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
6/9(水)19:00 サントリーホール
問:チケットスペース03-3234-9999

2021.6/6(日)14:00 大阪/フェスティバルホール【中止】
問:ABCチケットインフォメーション06-6453-6000 
https://avex.jp/classics/arksinfonietta2021/

※公演によりプログラムが異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。