びわ湖ホールは、沼尻竜典芸術監督の任期を1年延長し、2023年3月までとすると発表した。併せて、次期芸術監督予定者として、2021年4月より阪哲朗が芸術参与に就任したことも発表された。
阪は、京都市出身。第44回ブザンソン国際指揮者コンクール優勝の後、アイゼナハ歌劇場音楽総監督、レーゲンスブルク歌劇場音楽総監督など、ドイツをはじめとする欧州の歌劇場で約25年にわたりキャリアを積み、現在は、山形交響楽団常任指揮者を務めている。びわ湖ホールには、2004年にオペラ《アマールと夜の訪問者》(演奏会形式)で初登場。今年1月には《魔笛》も振るなど、特に近年は同ホールと密接な関係が続いていた。
就任にあたり、阪は以下のようなコメントを寄せている。
「これまで、若杉、沼尻両芸術監督が手塩にかけて育んでこられたびわ湖ホールに芸術参与として参画させていただけるのは、身に余る光栄です。
2017年まで約25年間、拠点であったスイスやドイツの劇場をはじめ、ゲストとしても各国の劇場を訪れ、指揮をしてきました。その経験を今、自分の住む滋賀県の愛すべき劇場『びわ湖ホール』に、少しでも役立てることができるならとても嬉しく思いますし、楽しみでもあります。劇場の音楽監督には、歌手、合唱、バレエ、オーケストラ、劇場スタッフその他大勢、時には数百名もの大所帯をまとめ上げ、様々な交渉を行うなど、音楽だけではない総合的な力が要求されます。そのような劇場でのほぼ全ての音楽ポジションをドイツでいわば叩き上げとしてこなしてきました。
当然、これまでの音楽環境や仕事場の環境は日本とは異なるため、そこから生じる考え方の相違もあることでしょう。しかし、びわ湖ホールのためという視点で、これまでの経験を最大限に生かすことができれば、新しい風を吹き込むことができると信じています。尽力を惜しむことなく、活気のある魅力的な公演を上演し続けていきたいと考えています。目指すのは、世代を超えて皆様に愛される劇場、皆様が誇りに思ってくださる劇場です」
一方、沼尻は、2023年3月に《ニュルンベルクのマイスタージンガー》をとりあげ、習作期を除くワーグナー全10作品上演を達成し、芸術監督16年目に当たる任期最終シーズンを終えることになる。