名手が“鍵盤音楽の最高峰”を変幻自在に描き出す
闊達に、しかし繊細に。チェンバロの表現の可能性を拡大するような変幻自在のプレイを展開する辰巳美納子が、ついに“鍵盤音楽の最高峰”である大バッハの「ゴルトベルク変奏曲」へ対峙。このほど満を持してCD録音に臨み、そのリリースを記念するリサイタルを自身の地元・高崎と東京で開く。
武蔵野音大から東京藝大・同大学院に学び、アムステルダム・スヴェーリンク音楽院では、グスタフ・レオンハルトら巨匠の薫陶を受けた。帰国後はリサイタル活動の一方、通奏低音奏者としても活躍し、オーケストラ・アンサンブル金沢など主要楽団の公演にも多数出演。これまでに3枚のCDを発表し、高い評価を得ている。
ステージでは、30年来愛用している、現代の名匠ブルース・ケネディ製作によるフレミッシュの銘器(17世紀のルッカースに基づくレプリカ)で、「ゴルトベルク変奏曲」全曲はもちろん、同じト長調の「フランス組曲第5番」も併せて披露。辰巳の持ち味である、凛とした佇まいや、楽想ごとに鮮やかに変容する色彩感が存分に堪能できよう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2021年1月号より)
2021.1/17(日)14:00 高崎芸術劇場 音楽ホール
1/29(金)19:00 東京文化会館(小)
問:アレグロミュージック03-5216-7131
http://www.allegromusic.co.jp