大植英次(指揮) 東京交響楽団

熱き名匠と勢いに乗る人気ソリストが贈る鮮烈のチャイコフスキー


 東京交響楽団の新年最初の川崎定期演奏会は、大植英次指揮によるチャイコフスキー・プロ。木嶋真優をソリストに招いたヴァイオリン協奏曲と、交響曲第4番が演奏される。両曲は作品35と作品36。30代後半のチャイコフスキーに訪れた飛躍の時に焦点を当てる。

 ミネソタ管弦楽団音楽監督、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー首席指揮者、バルセロナ交響楽団音楽監督など、国際的なキャリアを積み、国内でも大阪フィル音楽監督を務めた大植英次だが、東京交響楽団との共演は久々。濃厚でドラマティックな音楽を持ち味とする大植と、バランスよく豊かで潤いのあるサウンドを持つ東響との組合せから、どんなチャイコフスキーが生まれるのか、大いに興味をひく。いつもの東響指揮者陣とは一味違ったタイプの熱風を吹き込んでくれるのではないだろうか。

 ヴァイオリン協奏曲では注目の木嶋真優が登場する。早くから卓越した才能を認められ、2016年には第1回上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝し、国内外で活躍する木嶋だが、近年はテレビ出演など多方面での活動を通して新たなファンを獲得している。名教師ザハール・ブロンに師事し、ロストロポーヴィチにも絶賛された木嶋にとって、チャイコフスキーは欠かすことのできないレパートリー。鮮烈なチャイコフスキーを披露してくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2021年1月号より)

川崎定期演奏会 第79回
2021.1/17(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
https://tokyosymphony.jp