【CD】ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番・第6番/トリオ・アコード

 トリオ・アコードのデビューアルバム。中期の傑作第5番「幽霊」では、固く結晶したような緊迫感が素晴らしい。冒頭のユニゾンのアタックに続き、門脇大樹のチェロの叙情的な歌に、白井圭のヴァイオリンが繊細に絡み、津田裕也の粒立ちの良いピアノの走句が煌めく。演奏の質の高さに最初から引き込まれる。緩徐楽章は「幽霊」の愛称のもとになった不気味さとターン音型の反復に悲劇性が浮かび上がる。終楽章はのびやかな主題と激しい回転運動、緩急の変化が表現に奥行きを与えている。第6番では第3楽章の歌が印象的。ピアノと弦が対話しながら連綿と旋律を紡いでゆく。とても美しい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2020年12月号より)

【information】
CD『ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番・第6番/トリオ・アコード』

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」、同第6番

トリオ・アコード
【白井圭(ヴァイオリン) 門脇大樹(チェロ) 津田裕也(ピアノ)】

フォンテック
FOCD-9838 ¥2800+税