小川典子 ピアノ・リサイタル ロシアの大作曲家たちの名作

ロシア作品の豊麗なサウンドがホールを満たす

C)Richard Cannon

 小川典子は、1987年のリーズ国際ピアノコンクールで第3位に入賞し、現在、イギリスと日本を拠点に演奏活動を行っている。英国ギルドホール音楽院教授や浜松国際ピアノコンクールの審査委員長を務めるほか、スウェーデンのBISレーベルから30タイトルを超えるアルバムをリリースし、日本を代表する国際的ピアニストの一人に数えられる。

 また、川崎市出身の彼女は、ミューザ川崎シンフォニーホールのホールアドバイザーも務める。そして、この秋イギリスよりミューザへ帰り、ロシア音楽によるリサイタルをひらく。小川は、ドビュッシーのピアノ曲全集やサティのピアノ独奏曲集の録音でフランス音楽のイメージが強いが、デビュー以来、ロシア音楽にも力を入れてきた。すでにラフマニノフのピアノ協奏曲全集を残し、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番やムソルグスキーの「展覧会の絵」も録音している。小川の演奏には内面からの情熱があり、その音楽はニュアンスに富んでいる。そして、彼女のしっかりとした重みのある明確な打鍵や豊かな音量がロシア音楽にふさわしい。今回は、ラフマニノフの「10の前奏曲」op.23から第1、4〜7番、「13の前奏曲」op.32から第7、10、12番、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」を取り上げる。小川のスケールの大きな表現が満喫できるに違いない。彼女のホームというべきミューザ川崎シンフォニーホールでのリサイタルが待ち遠しい。
文:山田治生
(ぶらあぼ2020年11月号より)

2020.11/7(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 
https://www.kawasaki-sym-hall.jp