大御所安田謙一郎を中心に、現N響のメンバーである藤村俊介と宮坂拡志、そしてベテランの木越洋で結成されたチェロ・クァルテットKのデビュー盤。第1チェロを安田、そして最低声を木越がガッチリと取り囲み、その中で藤村と宮坂が自由に泳いでいるような趣、自在さと統一感を兼備した素晴らしいアンサンブルだ。本アルバムで最高の聴きものは珍しいクズネツォフの組曲だろう。5楽章構成で楽想の点からもチャイコフスキーの弦楽セレナードを連想させる。多彩な響きを引き出したラヴェル、原曲のイメージを刷新するようなアレンジが秀逸なシャコンヌも演奏ともども見事。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2020年11月号より)
【information】
CD『シャコンヌ/チェロ・クァルテットK』
J.S.バッハ:シャコンヌ(L.ヴァルガ編)、G線上のアリア(W.トーマス=ミフネ編)/ラヴェル(W.バーテル編):亡き王女のためのパヴァーヌ/バーバー:弦楽のためのアダージョ/クズネツォフ:組曲
チェロ・クァルテットK
【安田謙一郎 藤村俊介 宮坂拡志 木越洋(以上チェロ)】
マイスター・ミュージック
MM-4081 ¥3000+税