トーキョー・メット・サラダ・ミュージック・フェスティバル2020 [サラダ音楽祭]

オーケストラとダンスで愉しむファミリー向けの音楽祭


 「サラダ音楽祭」が今年も開かれる! 2018年から池袋の街を舞台に、数々のコンサートやワークショップ、街頭でのライブを通じ、誰もがクラシック音楽を身近に楽しめる音楽祭としてスタートした「TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL」。今年は新型コロナの影響で開催は厳しいだろうかと懸念していた人も多いだろう。しかし感染症予防対策が取られつつ、コンサートが徐々に再開される中、子どもたちに大人気の「OK! オーケストラ」、そして「音楽祭メインコンサート」の開催が発表となった。

 オーケストラはもちろん東京都交響楽団、そして指揮は音楽監督の大野和士。9月5日の「OK! オーケストラ」は「赤ちゃんから入場OK!」のコンサート。すぎやまこういちの交響組曲「ドラゴンクエストV」の序曲のマーチで幕開けし、ビゼーの《カルメン》前奏曲や、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」など、華やかなクラシックの名曲が届けられる。今年は“歌のお兄さん”として人気を集めた横山だいすけが司会と歌で登場。「ビリーブ」で美声を聴かせてくれる。近藤良平が振付を担当するダンスは、今年もスーパーエイト(サラダ音楽祭ダンサーズ)が踊る。生き生きとしたステージを作り上げることだろう。今回は「歌ってOK!」とはいかないが、赤ちゃんも、子どもたちも、家族みんなで音楽を全身で受け止めて、楽しいひとときを過ごしてほしい。

 9月6日の「音楽祭メインコンサート」は、モーツァルトの明るく伸びやかなモテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」で開始。臼木あいが表現力豊かなソプラノで歌い上げる。ラヴェルのピアノ協奏曲の第2楽章をしっとりと奏でるのは、NYと日本を拠点に活躍するピアニスト江口玲。都響のソロ・コンサートマスター矢部達哉がソロを務めるのはペルトの「フラトレス」(打楽器と弦楽合奏とのバージョン)。ラヴェルとペルトの2曲には国際的な活躍が目覚ましい舞踊家・金森穣が振り付けし、彼が率いるNoism Company Niigataがダンスを披露する。身体表現とのコラボレーションにより、哲学的とも言える美しい空間が生み出されることだろう。ラヴェルはもう一曲、流麗な「亡き王女のためのパヴァーヌ」が演奏され、さらには明るいオーケストラ・サウンドが楽しいミヨーのバレエ音楽「屋根の上の牡牛」で、賑やかなクライマックスを迎える。

 残念ながら予定されていたオペラ公演などは中止を余儀なくされたが、今年は今年の楽しみ方で、サラダ音楽祭を堪能しよう!
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2020年9月号より)

OK! オーケストラ 2020.9/5(土)14:00
音楽祭メインコンサート 9/6(日)16:00
東京芸術劇場コンサートホール
問:サラダ音楽祭事務局03-5330-3080 
https://salad-music-fes.com