トリノ王立歌劇場 日本公演 《トスカ》ゲネプロ

 今年最後のオペラの大イベント、イタリアのトリノ王立歌劇場の日本公演が迫ってきた。11月26日(火)にはプッチーニ《トスカ》のゲネラルプローベ(ドレスリハーサル)が行われた。
 この日、トスカを歌ったのは15年ぶりの来日となるパトリシア・ラセット(12/5,12/8に出演)。大変なオペラ通としても知られる日本文学研究者ドナルド・キーン氏も絶賛しているというラセット。今まで日本で歌う機会は多くなかったが、世界中の一流歌劇場に出演し続け、2週間前までMETでトスカを歌ってきたばかりとのこと。当ゲネプロでも際だった歌唱と演技を披露し、日本でも新たなスター歌手として大評判になることを確信させた。カヴァラドッシのマルセロ・アルバレスは甘い美声と豊かな声量を遺憾なく発揮し、名アリアや第2幕の“Vittoria!”などほれぼれする出来。スカルピアのラド・アタネリは外見も声もダンディながら、憎らしいまでの見事な悪役ぶりで舞台を引き締めた。
 そして、「《トスカ》はプッチーニの代表作であり、私自身大好きなオペラ」と語っていた音楽監督ジャナンドレア・ノセダの指揮は抜群の存在感。繊細な音色と絶妙なバランスでプッチーニの精妙なスコアを余すところなく再現し、その上で情熱あふれる劇的な演奏を実現。「これぞイタリア・オペラ!」とうならされること間違いない。ジャン・ルイ・グリンダの演出は、基本的には伝統的で美しいスタイルで、安心して《トスカ》の世界を堪能できるだろう。
 特筆したいのは、ノセダとオーケストラの緻密なリハーサルぶり。通しのリハーサルの段階で、すでにオーケストラはほぼ完璧なアンサンブルを実現していたが、幕間の休憩中にも重要な場面を何度も繰り返して確認。その後も、楽員がノセダに質問攻めしたり、楽員同士が自主的に議論したり、セクション内で自主的に合奏して完成度を上げるなど、「最高のものを作り上げよう」という空気に満ち溢れていた。最も演奏回数が多い演目のひとつである《トスカ》でこの丁寧さ。ノセダが音楽監督になってからトリノ王立歌劇場が「最高水準の歌劇場に急成長した」と言われる理由を垣間見られた場面だった。
(Photo:M.Terashi & J.Otsuka /TokyoMDE)

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■information

《トスカ》(プッチーニ)
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽・合唱:トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団
演出:ジャン・ルイ・グリンダ
出演:ノルマ・ファンティーニ(トスカ)(11/29、12/2)、パトリシア・ラセット(トスカ)(12/5、12/8)、マルセロ・アルバレス(カヴァラドッシ)(全日)、ラド・アタネリ(スカルピア)(全日)
日程:11月29日(金)・18:30、12月2日(月)・15:00、12月5日(木)・18:30、12月8日(日)・15:00
会場:東京文化会館

《仮面舞踏会》(ヴェルディ)
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽・合唱:トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団
演出:ロレンツォ・マリアーニ
出演:オクサナ・ディカ(アメーリア)、ラモン・ヴァルガス(リッカルド)、ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ(レナート)、マリアンネ・コルネッティ(ウルリカ)、市原 愛(オスカル)
日程:12月1日(日)・15:00、12月4日(水)・18:30、12月7日(土)・15:00
会場:東京文化会館

特別コンサート
「レクイエム」(ヴェルディ)
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽・合唱:トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団
独唱:バルバラ・フリットリ(ソプラノ)、ダニエラ・バルチェッローナ(メゾ・ソプラノ)、ピエロ・プレッティ(テノール)、ミルコ・パラッツィ(バス)
日程:11月30日(土)・14:00 会場:サントリーホール

問:ジャパン・アーツぴあ 03-5774-3040
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テレビ東京チケット事務局 03-3435-7000

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