現在、新型コロナウイルス感染拡大防止により世界中の劇場やスタジオの休館・閉鎖に伴い、クラシック音楽だけでなく、バレエやダンス公演も開催できない状況です。その中で、バレエ団、ダンスカンパニー、ダンサーたちが自分たちの踊りのライヴ動画を、また過去の名作品の動画の配信を積極的に行っています。
弊誌『ぶらあぼ』で毎月、連載「誰も踊ってはならぬ」を執筆している作家・ヤサぐれ舞踊評論家、乗越たかおさんに、おススメのバレエ&ダンス動画をセレクトしてもらいました。
そして、2020年5月号に掲載した連載第67回「新型コロナが分断する社会。そのときアートは?」もこちらよりお読みいただけます。ぜひご一読・視聴ください。
●中村蓉ソロダンス公演『ジゼル』
おそらくアーティストとしての転機になるであろう予感に満ちた作品だったが、無念にも中止に。しかし「いま、この身体に宿った表現」は、いま踊るしかない。たとえ配信であっても。というわけで、バレエの名作をソロで踊る。女性性がどう描かれるか。
4月25日(土)14時から『ジゼル特別ver.30分版』を某所からライヴ配信
詳細は @YoNakamura0621 をチェック。
●ヨアン・ブルジョワ『グレート・ゴースト~偉大なる幽霊たち~』
最も来日公演を望んでいる一人。「階段から落ちるけど戻る」という浮遊感のスタイルはCMにも起用され、昨年のSPACで上演された『Scala –夢幻階段』は連日売り切れが記憶に新しい。コンテンポラリー・サーカス、コンテンポラリー・ダンスの領域を超えて活躍するアーティストで、この4月にはヨアン本人が横浜DaBYに来日予定だったが新型コロナで中止に。本作は、バランスや重力、回転といったヨアンの作品のエッセンスが詰まっている。
視聴:https://vimeo.com/399387060
●クリスタル・パイト『THE STATEMENT』
クリスタル・パイトはいまイチオシの一人。昨年のNDT(ネザーランド・ダンス・シアター)の日本公演で上演され、大きく話題になった作品。大きな楕円形をした会社の会議テーブルを中心に、互いの会話や偉い人からの命令の音声が背景に流れる。
「そんなことが、ダンスになるのか!?」と思うだろうけど、じつにコミカルでダークな世界観が面白い。
視聴:https://vimeo.com/405408341
*現在『THE STATEMENT』の配信は終了しておりますが、NDTの別作品の動画が視聴できます。詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 https://www.ndt.nl/en/ndtv-full-ballets-online/
●マッツ・エック『Julia & Romeo』
唯一無二の世界観と身体言語、世界中から尊敬を集めるマッツ・エック。大御所にして挑戦に満ちた作品。『ロミオとジュリエット』だが、一人一人の性格描写が実に魅力的。そしてラスト、あの段取りではなく、中心のエッセンスだけをつかみ出す大胆さ。堪能できる。通常お調子者のマキューシオが、ハゲの巨漢だ。ジュリエット役の木田真理子も素晴らしい。
視聴:https://player.vimeo.com/video/403265767
●オハッド・ナハリンによるGAGAレッスン
世界中を魅了するバットシェバ舞踊団のオハッド・ナハリンが創り出し、あの独特な動きの源泉、そしていまや世界で最も人気のある(かもしれない)トレーニングメソッドがGAGA(ガガ)。
なんとオハッド自らのレッスン動画が公開されている。しかも360/VRなので、参加者がどんなことをしているのかも見ることができる。
ごくごく簡単な英語なので、周りの参加者を見ていれば問題なくできる。
ガガの大切なポイントは、「他の参加者の動きをよく見て、常に頭を働かせながら身体を動かす」ということなのだ。
lesson1
https://youtu.be/oLz09Splpf8
lesson2
https://youtu.be/N5PhwsQKRIw
●映像配信している劇場、カンパニーリスト
ダンスのみならず、舞台芸術全般、ワールドワイドに集めている。
登録が必要な物もある。寄付ができるものには、ぜひ寄付を!
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1JC9gQn8-e_hL6vZGPBENdt_a3QEkcZVmbi3rv4_xNzE/htmlview?urp=gmail_link#gid=0
新型コロナが分断する社会。そのときアートは?