東京・春・音楽祭 2014

10年目を迎える上野の春、今回も魅力的な公演が目白押し

 春の上野を華やかに彩る音楽祭として、すっかり定着した《東京・春・音楽祭》。2014年には第10回の節目の年を迎え、例年にも増して魅力的なラインナップが並ぶこととなった。開催期間は3月14日から、4月13日までの1ヵ月間。東京文化会館をはじめ、国立科学博物館や東京国立博物館など、上野の文化施設を舞台に多数の公演が開かれる。
 まず注目されるのは、なんといっても今回よりスタートするワーグナー《ニーベルングの指環》の第1弾となる《ラインの黄金》(演奏会形式)だろう(4/5,4/7)。これまで同音楽祭では「東京春祭ワーグナー・シリーズ」として、毎年1作品ずつワーグナーのオペラを取りあげてきた。2014年からはついに大作《ニーベルングの指環》が開始される。《ラインの黄金》以降、毎年1作ずつ《ワルキューレ》《ジークフリート》《神々の黄昏》と続く。
 指揮を担うのはワーグナーを得意とするマレク・ヤノフスキ。ヤノフスキといえば、80年代にシュターツカペレ・ドレスデンと、さらについ先頃、ベルリン放送交響楽団と《指環》全曲録音を完結したばかり。2度にわたって《指環》を録音した経験を持つ名匠である。NHK交響楽団とともに情感豊かなスケールの大きいワーグナーを聴かせてくれるにちがいない。歌手陣はエギルス・シリンスのヴォータン、トマス・コニエチュニーのアルベリヒ、アーノルド・ベズイエンのローゲ、クラウディア・マーンケのフリッカ他、実力者が並ぶ。
 ワーグナー以外にも注目公演が目白押しだ。10年目を節目に新たにスタートする「合唱の芸術シリーズ」では、「10th Anniversary ガラ・コンサート」(4/13)と題して、ウルフ・シルマー指揮 東京都交響楽団と東京オペラシンガーズで、ヘンデル「ハレルヤ」コーラスやマーラーの交響曲第2番「復活」第5楽章抜粋など、合唱の名曲の数々が演奏される。合唱ならではの祝祭感あふれる公演になることだろう。また、「10th Anniversary Concert 〜春が来た!」(3/14)ではヴァイオリンの前橋汀子と都響メンバーによる、ヴィヴァルディ「春」やJ.シュトラウスⅡ「春の声」など、春一色のプログラムが披露される。
 貴重な公演となりそうなのは「《E.W.コルンゴルト》〜二つの世界の狭間で」と題された一夜(3/31)。ウィーンとハリウッドで活躍した作曲家コルンゴルトの室内楽や歌曲などが演奏される。未知の名作と出会うチャンスだ。
 室内楽ファンにおすすめしたいのは、「ブラームスの室内楽」(4/9)。渡辺玲子、川本嘉子、向山佳絵子といった日本を代表する弦楽器の名手たちと、渡邊一正のピアノ、藤木大地のカウンターテナーが集う豪華な顔ぶれが目をひく。ピアノ四重奏曲第1番他、ブラームスの世界にどっぷりと浸りたい。
 旬の名歌手を招く「東京春祭歌曲シリーズ」では、マルリス・ペーターゼン(3/29)、アンゲリカ・キルヒシュラーガー(4/6)、そしてキルヒシュラーガー&イアン・ボストリッジ(4/12)による3公演が開催される。トップレベルの歌手による歌曲もこの音楽祭の大きな呼び物だ。
 上野ならではの企画は、博物館や美術館を会場にした「ミュージアム・コンサート」。例年好評の「東博でバッハ」シリーズでの福田進一(3/15)、三浦文彰(3/19)や、東京都美術館でのアレッシオ・バックス(3/16)など、楽しみな公演が多数控えている。春の訪れが待ち遠しい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2013年12月号から)

★2014年3月14日(金)〜4月13日(日)・東京文化会館、上野学園石橋メモリアルホール、東京国立博物館、国立科学博物館、東京都美術館、上野の森美術館 他
問 東京・春・音楽祭チケットサービス 03-3322-9966
※各公演の詳細や発売日などは下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.tokyo-harusai.com

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