名手が贈る、明るく優雅な春の午後
1725年製の銘器ストラディヴァリウス「ウィルヘルミ」で紡ぐ、円熟の音色に心を浸したい。音楽への愛情に満ちた温かなプレイで、聴き手に感動と喜びを与え続けて、今年でデビュー45周年の節目を迎えた名ヴァイオリニスト、大谷康子。気鋭のピアニスト、佐藤卓史とともに大田区民ホール・アプリコへ登場し、とっておきの名曲の数々を披露する。
「“ヴァイオリン”という、大好きな宝物に出会えたのは、私の人生で一番の幸運」と言う大谷。東京藝大・同大学院に学び、在学中から演奏活動を始め、ウィーンやベルリンなど主要都市でリサイタルをする一方、モスクワ・フィルほか国内外の主要楽団と共演を重ねてきた。そして、今回共演する佐藤も、国際的に活躍する実力派だ。
ステージは2部構成。「春に寄せて」と題した第1部は、生誕250年を迎えたベートーヴェンのソナタ第5番「春」を軸に。ヴィヴァルディ「四季」やピアソラ「ブエノスアイレスの四季」から、それぞれの「春」ほか、色とりどりの名曲を披露。さらに〈一緒に歌おう!〉と題し、「春の小川」や「花」など聴衆の歌との“共演”も。
そして、第2部は、オリンピックの年にちなんで、「世界の音楽」をテーマに。「今年は、世界が日本に注目する年。スポーツと同じように、音楽で世界との親善を深めたい」と大谷。アジア(外山雄三「日本民謡による組曲」から第1楽章)を出発点に、南米(ピアソラ「リベルタンゴ」)など五大陸を巡って、ヨーロッパ(サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」)に至る、音の世界旅行へと聴衆をいざなう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年4月号より)
*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は延期となりました。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
2020.4/22(水)14:00 大田区民ホール・アプリコ
問:アプリコ チケット専用電話03-3750-1555
https://www.ota-bunka.or.jp