【CD】上野優子リサイタル with FAZIOLI スカルラッティ・ドビュッシー・プロコフィエフ

 上野優子は、楽曲から様々な色彩を引き出すことが可能な変化に富んだ音色と確かなテクニックを兼ね備えたピアニスト。全6回の公演で使用するピアノを変えながらプロコフィエフのソナタを全曲演奏するシリーズを行っており、本盤はその第2回の模様を収録。ファツィオリを使用し、プロコフィエフの第3番、第4番のソナタにスカルラッティのソナタ、そしてドビュッシーの「版画」など多彩なプログラムで鮮やかに変化する音色を聴かせてくれる。特筆すべきはプロコフィエフ作品。非常に情感豊かな演奏で、どこか冷たく弾かれがちなこの作曲家の作品の本質を見事に引き出している。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年4月号より)

【information】
CD『上野優子リサイタル with FAZIOLI スカルラッティ・ドビュッシー・プロコフィエフ』

スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K.27/L.449、同ホ長調 K.531/L.430、同イ長調 K.533/L.395/ドビュッシー:版画、エレジー/プロコフィエフ:風刺(サルカズム)、ピアノ・ソナタ第3番、同第4番、束の間の幻影より第17曲「詩的に」 他

上野優子(ピアノ)

収録:2018年12月、すみだトリフォニーホール(小)(ライヴ)
フォンテック
FOCD20123 ¥2700+税