【CD】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番/エルデーディ弦楽四重奏団

 後期弦楽四重奏曲シリーズ第3弾は、前作・第11番から14年の時を経て作曲された第12番。冒頭のファンファーレのような和音は重厚に響き、対位法的な両主題はごくごく自然に流れてゆく。和音との対比が美しい。長大な緩徐楽章で聴かれる各変奏では、アンサンブルに粘着力があり、声部ごとの絡みがとてもきれい。特に主調変イ長調に対して遠隔調となるホ長調の第3変奏の讃歌はまさに天上の音楽!! どの変奏でもチェロが大活躍する。ユーモラスな第3楽章スケルツォも、リズムの躍動するフィナーレもとてもいい。そして幻想的なコーダがこれまた美しい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2020年4月号より)

【information】
CD『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番/エルデーディ弦楽四重奏団』

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番

エルデーディ弦楽四重奏団
【蒲生克郷 花崎淳生(以上ヴァイオリン) 桐山建志(ヴィオラ) 花崎薫(チェロ)】

コジマ録音
ALCD-1189 ¥2500+税