ベルリンフィル12人のチェリストたち

人気抜群の贅沢なグループ、今年は1回のみの公演

C)Peter Adamik

 数あるベルリン・フィルの室内楽グループの中で最も親しまれているのは、やはり「ベルリンフィル12人のチェリストたち」であろう。世界最高峰オーケストラのチェロ・セクション全員で構成された同グループは、1972年の結成以来、半世紀近くにわたって活躍。世界各国での演奏やCD録音を継続し、著名作曲家が書いたオリジナル曲や独自の編曲を通して、音楽表現の可能性を広げている。チェロは音域が広大で音色は豊麗。同楽器が12本揃えば唯一無二のブレンド音や表現の幅が生まれ、その芳醇な響きと音楽は独特の心地良さをもたらす。特に当グループはソリスト級のメンバーが揃っているので、クオリティの高さは他の追随を許さない。それにステージと客席のコミュニケーションで佳き雰囲気が醸成される稀有の魅力も相まって、過去15回の東京公演はすべてチケット完売の人気を誇っている。

 ただしベルリン・フィルの音楽の要ともいえるチェロ・セクション全員が参加するため、オフシーズンにしか活動できない。よって毎回の公演が得難い機会となる。しかも今年6月に行われる16回目の来日公演は東京1回のみ。これは言うまでもなく貴重だ。彼らの魅力の1つが、オーケストラを凌ぐ演奏ジャンルの幅広さ。今回も、パーセル、ドビュッシーなどのクラシックから、彼らのためのオリジナル曲、「二人でお茶を」やピアソラのタンゴまで、バラエティに富んだプログラムが用意されている。個々の名技、一糸乱れぬアンサンブル、マイルドかつ重厚なサウンド、そしてエンタテインメント性溢れるステージをお見逃しなく!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年2月号より)

2020.6/29(月)19:00 サントリーホール 
2020.2/8(土)発売
問:「ベルリンフィル12人のチェリストたち」公演事務局(ヴォートル内) 03-6379-2177(1/20以降) 
http://www.nikkei-events.jp