スウェーデン放送合唱団

最高峰の団体が聴かせる時空を超えた傑作たち

C)Kristian Pohl

 大胆さと緻密さを併せ持つ、幅広い表現力と鉄壁のアンサンブル能力で、“合唱界のベルリン・フィル”とも称される「スウェーデン放送合唱団」。昨年まで11年にわたって音楽監督を務め、世界最高峰の精鋭集団へさらなる進化をもたらした名匠ペーター・ダイクストラに率いられて来日し、“集大成”としての圧巻のハーモニーを聴かせる。

 同合唱団は、1925年に創設。エリック・エリクソンら巨匠が音楽監督として、その歌声を磨き上げてきた。「偉大な伝統を引き継ぐことができたのは、光栄でした」と、エリクソンの愛弟子でもあったダイクストラは振り返る。「32人のメンバーは個々に優秀な歌手であるだけでなく、高いアンサンブル力を備えた“音楽家”なのです」。

 11月26日の公演では、大バッハのモテット「歌え、主に向かい新しい歌を」と、同じ歌詞に現代スウェーデンのサンドストレムが作曲した同名作品を対置。ストラヴィンスキー「詩篇交響曲」を、新たに出版された、ショスタコーヴィチによる4手ピアノ伴奏版で聴けるのも話題に。さらに、ペルト、シュニトケなど、独特の世界観を持つ古今の佳品が配される。

 唯一無二のサウンドを継承し、よりいっそう技術を高めると同時に、ダイクストラが力を注いできたのが、実はレパートリーの拡充。「特定の時代に偏らず、あらゆる作品を取り上げました。これにより、表現の多様性や柔軟性が向上したのです」。そして、今回披露されるラインナップこそ、まさにこの取り組みを具現。“人の声”の持つ底知れぬパワーを教えてくれるだろう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年11月号より)

2019.11/26(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 
https://www.operacity.jp/

他公演
2019.11/23(土・祝)京都コンサートホール(075-711-3231)
11/24(日)愛知県芸術劇場コンサートホール(東海テレビチケットセンター052-951-9104)
11/27(水)紀尾井ホール(ソニー音楽財団03-3515-5261)
11/28(木)東北大学川内萩ホール(合唱団萩080-3368-3951)
※プログラムは公演により異なります。全国ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.pacific-concert.co.jp/