東京建物 Brillia HALL 11月にオープン!

変貌する池袋に演者の息づかいが伝わる理想的な劇場空間

ホール外観(夜景)

国際アート・カルチャー都市のシンボル

 東京の都心エリアのなかでも、いま一番熱いのは池袋ではないだろうか。西口の東京芸術劇場など文化の拠点はあるものの、これまでは少々雑然とした繁華街のイメージが強かった。だが、豊島区は2015年、それまでの池袋のイメージと少々異なる「国際アート・カルチャー都市構想」を策定していた。それが翌年には「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」というコンセプトに落とし込まれ、来年の東京五輪を前にして、現実に置き換えられようとしているのである。

 その中核が池袋駅の北東、中池袋公園に面した旧豊島区庁舎および豊島公会堂跡地に出現する「Hareza(ハレザ)池袋」。非日常の「ハレ」と、劇場や多くの人が集まる場所を表す「座」を掛け合わせたというネーミングが象徴するように、ホール棟、区民センター、オフィス棟(ハレザタワー)の3棟からなる国際アート・カルチャー都市のシンボルで、年間1000万人の集客を見込んでいるという。

 そして、この3棟の中心に11月、極めつきの劇場がオープンするのだ。「東京建物 Brillia HALL」。本来の名称は「豊島区立芸術文化劇場」だが、ネーミングライツによって、Hareza 池袋の事業主の代表企業である東京建物と、同社のマンションブランドBrillia(ブリリア)を冠した名になった。

幅広いニーズに対応可能なホールの内観

 内部は3層で、全1300席。舞台から客席まで最大視距離28メートル以内と近く、2層目と3層目は客席が千鳥配列で、どの席からも舞台が見やすく、臨場感が味わえるのがうれしい。また、生の声や楽器の音はもちろん、マイクを通した歌やセリフの聴き取りやすさも重視した最新の音響設計で、コンサートからオペラ、ミュージカル、演劇、伝統芸能、そして区民向けの行事まで、幅広いニーズに応えられるという。

 このホールの目的は「区民に良質な芸術文化を鑑賞する機会を提供」「芸術文化が生みだす波及効果で地域のにぎわいを創出」などと記されている。だが、区民にかぎらず、だれもが理想的なホールで「良質な芸術文化」に接する機会が得られるのは、いうまでもない。

 実際、初っ端から「こけら落としシリーズ」と銘打ち、注目作品が続々と登場する。なかでも特筆されるのが、トップバッターの一つとして11月16日、17日に上演されるINNOVATION OPERA《ストゥーパ〜新卒塔婆小町〜》である。


和洋の様式を取り入れた、各地で大反響のイノベーション・オペラ

 原作は能の『卒塔婆小町』。高野山を下って都に向かう僧と従僧の前に、卒塔婆に腰かけた老婆が現れたが、実は彼女、かつて多くの男性を虜にした小野小町。そしていままた僧と従僧を生死の間に彷徨わせる、というストーリーだ。

 織田英子作曲の音楽は幽玄の世界をオーケストラで表現し、世界的指揮者の西本智実が舞台をオペラティックに脚色および演出。西本がイルミナートフィルハーモニーオーケストラを指揮し、東西が融合したえもいわれぬ世界を現出させる。小町役の佐久間良子、従僧役の中村扇雀、僧役の杜けあき、の演技も見ものだ。

西本智実
C)Akito Koyama

 この美しく革新的な舞台の魅力や上演への意気込みについて、西本に聞いた。

「もともと佐久間良子さんの魅力からインスピレーションを受け、この作品を創りました。これだけの規模の舞台をゼロから創るのは大変でしたが、没頭し、気づいたら初演を迎えていました。今回は中村扇雀さん、杜けあきさんもご出演くださり、それぞれの様式でどのように調和するのかを想像し、リハーサルを前にしてトキメキのようなワクワク感を覚えています」

 事実、一昨年秋、富山のオーバード・ホールでの初演はかなりの話題になった。

「初演は大きな反響がありました。その後、東京文化会館、大宮のソニックシティで上演を重ねることができ、今回、東京建物 Brillia HALLのこけら落とし公演に選ばれて光栄です。ホールの空間を幽玄の世界で満たしたいと思います」

 幽玄、まさに、この作品の核心である。

「オーケストラで虫の声を表現したり、和楽器的に聴かせたりする奏法は、イルミナートフィルのメンバーが自発的に編み出した独自のもの。織田さんも、小野小町の和歌をだれもが口ずさめるような雅調で書いてくださいました。和洋の音楽、古典と現代の芝居、舞踊と、さまざまな要素がある作品で、再演を重ねるごとに外国からのお客さまも増え、漢字や古典を共有するよろこびも生まれています。字幕も表示しますので、みなさんの感じる行間と音楽と芝居が呼応する舞台を創りたいと願っています」

 オーケストラ好きもオペラ好きも演劇好きも、自分の嗜好を満足させながら日本美を再認識し、古典への造詣を深めることができる。一挙両得とはこのことだろう。
文:香原斗志
(ぶらあぼ2019年10月号より)

【Information】
INNOVATION OPERA《ストゥーパ〜新卒塔婆小町〜》

2019.11/16 (土)16:00、11/17(日)14:00 東京建物 Brillia HALL

演出・脚本・指揮:西本智実 作曲:織田英子
出演:佐久間良子、中村扇雀、杜けあき 舞踊:玄 玲奈
公達:杉江恭輔、濱田 翔、小仁所良一、石井基幾
管弦楽:イルミナートフィルハーモニーオーケストラ
合唱:イルミナート合唱団 & 川村学園コーラス部

こけら落としシリーズについての問い合わせ先
問:東京建物 Brillia HALL 劇場運営課03-6773-4919

チケットについての問い合わせ先
問:としまチケットセンター03-5391-0516
https://toshima-theatre.jp/