ベルトラン・ド・ビリー(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

聴き手の心を浄化する、ブラームス合唱作品の美しき響き


 ベルトラン・ド・ビリーが新日本フィルに客演し、ブラームスの合唱とオーケストラのための作品を指揮する。ブラームスは、若い頃からデトモルトやハンブルクで女声合唱団を指揮し、ウィーンのジングアカデミーの指揮者を務めるなど、合唱との関わりが深く、合唱に素晴らしい作品を残している。今回取り上げられるのは、「運命の歌」、「哀悼の歌」、そして「ドイツ・レクイエム」。天上の精霊と地上の人間を歌う「運命の歌」、画家で友人のアンゼルム・フォイエルバッハの死を悼んで作曲され、近年は「悲歌」と呼ばれることの多い「哀悼の歌」、シューマンや母親の死と関わりの深い「ドイツ・レクイエム」というように、生と死をテーマとした作品が並べられる。

 ド・ビリーは、フランス出身ながら、ウィーン放送交響楽団の首席指揮者を務めるなど、ドイツ語圏での活躍も目覚ましく、ドイツ音楽の演奏に定評がある。日本でも、N響とのシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」、東京フィルとのベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」とR.シュトラウスの「英雄の生涯」、新国立劇場での《アラベッラ》などの演奏が思い出され、新日本フィルとのブラームスでの名演を期待したくなる。合唱には、新日本フィルとの共演も多く、常に熱意のこもった演奏を聴かせてくれる、栗友会合唱団(合唱指揮:栗山文昭)。独唱に、ソプラノの髙橋絵理、バリトンの与那城敬という充実の布陣。
文:山田治生
(ぶらあぼ2019年6月号より)

第607回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉
2019.7/4(木)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp/