第29回 新日鉄住金音楽賞に葵トリオ

左より:林喜代種、秋元孝介、小川響子、伊東裕
Photo:T.Shiroma/Tokyo MDE

 第29回 新日鉄住金音楽賞フレッシュアーティスト賞に葵トリオ(ピアノ三重奏団)が選ばれた。同賞は、日本の音楽文化の発展と将来を期待される音楽家の活躍を支援することを目的として、1990年に設けられた。「個々の高い技術を備えた3人の、トリオとしてのサウンドと精神のバランスが完璧であった。今回の素晴らしい実績と今後の活躍で日本を代表するピアノ・トリオに成長することが期待される」と評され、受賞が決定した。

 葵トリオは、2016年に小川響子(ヴァイオリン)、伊東裕(チェロ)、秋元孝介(ピアノ)の3名により結成され、18年にはミュンヘンARD国際音楽コンクールで第1位に輝いた。室内楽部門での優勝は、日本人グループとして1970年の東京クヮルテット以来の快挙となった。
 また、特別賞には林喜代種(舞台写真家)が選ばれた。

 3月13日には、新日鐵住金株式会社の本社にて、進藤孝生・同社代表取締役社長と、葵トリオ、林喜代種が出席し、贈呈式が行われた。式の後に開かれた会見の席で受賞者たちがコメントした。
 まずは葵トリオによる受賞の喜びの弁。
「これまで憧れていた賞をいただけてとても光栄。これを励みにこれからも頑張りたい」(チェロ:伊東裕)。「自分は現在、ベルリン・フィルのカラヤン・アカデミーに在籍しているが、ベルリン・フィルで活躍し尊敬している樫本大進さんと同じ賞を受賞できて本当に嬉しい」(ヴァイオリン:小川響子)。「他のメンバー同様に本当に光栄なこと。これからの目標としてはヨーロッパを拠点として幅の広い活動を続けていきたい」(ピアノ:秋元孝介)。

 今回の受賞に繋がった昨年のミュンヘンADR国際コンクールでの優勝についてこう振り返る。
「初めて受けたコンクールで1位という結果で驚いた。課題曲も初めて弾く曲が多く大変だった」(伊東)。「3人の個性のバランスが良いと評価された。これからもメンバー3人それぞれの主張を大切に演奏していきたい」(秋元)。
 また、舞台写真家として長きにわたり活躍してきた林喜代種は、「受賞にびっくりしている。とにかく嬉しい。これまでにオペラだけでも120演目、とにかく膨大な数のステージを撮ってきた。これからも“人物”に迫る活動をしたい。とくに若い人たちを撮影したい」と語った。
 
 なお、受賞記念コンサートは7月3日に紀尾井ホールで開催される予定。

新日鉄住金音楽賞
http://www.nssmc.com/csr/social/music/prize.html
紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/