オラリー・エルツ(指揮) 読売日本交響楽団

北欧の鬼才が放つ“今に生きる音楽”

 

 北欧諸国から世界へと羽ばたく才能が絶えることのない中、エストニア生まれのオラリー・エルツもまた、注目すべき指揮者である。2009年、16年に続いて3度目の客演となる読売日本交響楽団の定期演奏会は、20〜21世紀の作品集でありながら非常に抒情的かつ繊細な響きを味わえるプログラムだ。

 コンサートの冒頭に披露されるのは、エストニアを代表する作曲家のひとり、エリッキ=スヴェン・トゥールによる委嘱新作「幻影」(読響とエストニア国立響ほかによる共同委嘱)。その作風は同じエストニア出身のアルヴォ・ペルトを想起させ、基本的には叙情と神秘、そしてときにノスタルジーを感じさせるもの。新作ではベートーヴェンの「コリオラン序曲」がモティーフになっているとの情報だが、あとはサントリーホールの空間に響くのを待つしかない。武満徹の「星・島」(スター・アイル)、シベリウスの交響曲第5番という、それぞれ音楽が独特な世界を創造する後半の選曲も、トゥールからの流れを汲んでいるようだ。

 ゲスト・ソリストとして登場するのは、ベルリン・フィルをはじめとするトップ・オーケストラに客演が続くノルウェー出身のヴィルデ・フラング。ネオ・バロックの味わいをもつストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏するが、オーケストラの反応や音色も重要な合奏協奏曲の要素も強いため、読響の奮闘も楽しみな1曲なのだ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2019年4月号より)

第587回 定期演奏会 
2019.4/17(水)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp/

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