三浦文彰(ヴァイオリン)& 田村 響(ピアノ)

バレエ界超一級のダンサーとの夢の共演

左:三浦文彰 右:田村 響
Photo:M.Otsuka/Tokyo MDE

世界最高峰のバレエと、一流演奏家による音楽を同時に楽しむ「ダンス・コンサート」。3回目となる『Stars in Blue』には、バレエ界の“レジェンド”であるウィーン国立バレエ団芸術監督のマニュエル・ルグリらが登場する。そして、音楽を担当するのが、ヴァイオリンの三浦文彰とピアノの田村響。「実現自体が奇跡」「私たち自身が、まず楽しみ」…。2人の言葉にも、歴史的なコラボレーションへの意気込みと期待感があふれる。
「オーケストラ音楽をバックに踊ることが多いバレエですが、この公演は、ヴァイオリンとピアノだけ。こんなにシンプルなのに、これほど色彩豊かな舞台になるとは、実際にやるまで分からなかった。むしろ、全体の人数が少ない分、緻密な感覚で舞台を創ってゆける。僕自身が、本当に凄い迫力と美しさに、とても感動しました」。3年前にも「ダンス・コンサート」での演奏を経験した三浦は言う。

やはり、鍵となるのは、ダンサーとのコミュニケーション。
「どうすれば、踊り手が気持ちよく踊れるのか、常に考えながら弾きました。でも、さすがはトップの踊り手たち。最初からとても自然に入れました。そして音楽家にとって、想像力はとても大事。目の前のダンスから踊り手の作品の捉え方を感じ取り、寄り添う気持ちが生まれた。この経験で、自分の音楽自体が、いっそう色づいたと思います」

かたや、バレエとのコラボレーションは「初めての経験」という田村。
「でも、始まれば、すぐに実感が掴めると思う。もちろん、バレエの細かな作法など、勉強は必要でしょうが、同じ方向性へと向かうことだけは確か。こちらも柔軟に寄り添ってゆけば、楽しめるのでは。そんな感覚で作品が仕上がればいい、と想像をめぐらせています」

今回の演目には、ショパンやラフマニノフの名曲を使用した作品や現代の巨匠フィリップ・グラスの音楽を用いた新作振付の世界初演も。
三浦は「グラスの作品は、まだ譜面も届いておらず、どんな曲かはお楽しみ。パトリック・ド・バナさん(ドイツの名振付家)によって、どういう演出や表現になるのか。とても楽しみです」と話す。

ルグリをはじめ、ボリショイ・バレエのプリンシパル、オルガ・スミルノワやセミョーン・チュージン、ハンブルク・バレエ団のプリンシパル、シルヴィア・アッツォーニといった超一級のダンサーとの夢の共演。「ルグリさん自身が『スミルノワと共演できるとは…』と感激していたほど、実現すること自体が“奇跡”。最高のステージにしたい」と三浦。一方の田村も「音楽ファン、バレエファンのそれぞれが、両方を楽しむことで、また別の興味を持つきっかけになれば。そして、私自身も新しい世界を創っていけたら嬉しいですね」と熱っぽく語った。
取材・文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年3月号より)

マニュエル・ルグリ『Stars in Blue』 BALLET & MUSIC
2019.3/8(金)19:00、3/9(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296
http://www.geigeki.jp/
2019.3/17(日)15:00 愛知県芸術劇場 コンサートホール
問:愛知県芸術劇場052-971-5609
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/


他公演
2019.3/11(月)大阪/ザ・シンフォニーホール(キョードーインフォメーション0570-200-888)
3/14(木)宮崎県立芸術劇場(0985-28-3208)