新たな世界を拓く旬な二人の華麗なるコンチェルト
外山啓介(ピアノ)と辻本玲(チェロ)による「ザ・プレミアム! スペシャル・コンサート」。人気・実力ともに21世紀のクラシック界を牽引する二人が顔をそろえ、それぞれ不朽の超名曲を引っさげて華麗に競い合う贅沢な協奏曲の一夜だ。共演は円光寺雅彦指揮東京フィルハーモニー交響楽団。
まずは外山啓介のショパンのピアノ協奏曲第1番。2007年のデビュー以来、ショパンと大切に付き合ってきた外山。これまでにCDアルバムを3枚リリース。17年に全国約20ヵ所で実施したデビュー10周年記念オール・ショパン・プログラムによるリサイタル(デビュー・リサイタルとほぼ同一プログラムという、新たな一歩を示す挑戦だった)に対して、「第44回日本ショパン協会賞」を授けられたスペシャリストだ。音楽の美しさに溺れることなく、しかし絶対に奇を衒わない正攻法のショパンは、いつもすがすがしい。
そして辻本玲が満を持して初挑戦するのがエルガーのチェロ協奏曲。長く続いた第一次世界大戦の暗澹とした空気がヨーロッパを覆い、愛妻アリスの健康が悪化するなかで作曲・初演されたエルガー最後の大作は今年で誕生100年を迎える。仄暗いメランコリーが支配する名曲を、辻本のスケールの大きい美音と豊かな表現力でどう描くか。世紀の凄演をのこしたジャクリーヌ・デュ・プレや、辻本も敬愛するヨーヨー・マに迫る新たな名演の誕生に期待したい。
この二人がいるのだから、ショパンのチェロ・ソナタなどもおねだりしたいなあ…。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2019年2月号より)
2019.2/1(金)19:00 サントリーホール
問:チケットスペース03-3234-9999
http://www.ints.co.jp/