N響の奏者2人と弟子にあたる新日本フィル首席奏者のトリオによる初のCD。ベートーヴェンの2曲を含む全てがオーボエ2本+イングリッシュホルンのオリジナル作品だが、この編成の曲がこれだけ書かれている事実を充分納得させる好アルバムだ。冒頭のカーの作品から妙なる音色とその交錯に引き込まれ、ボザの作品のまさに牧童の笛の如き素朴な味わいや、ブレイクの作品のリズムと絡み合いが実に愉しい。ベートーヴェンの2曲も密度の濃い演奏で、驚くほど自然な“楽の音”に酔わされる。オーボエ愛好家以外の人も、楽しみながら新たな世界を知り得る1枚。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年1月号より)
【information】
CD『オーボエとイングリッシュホルンのために
/池田昭子&金子亜未&和久井仁』
カー:3人の奏者のための3つの小品/ボザ:プロヴァンスの羊飼いたち/ブレイク:2本のオーボエとイングリッシュホルンのための組曲/ジェイコブ:2つの小品/ベートーヴェン:三重奏曲、モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》の〈お手をどうぞ〉の主題による変奏曲
池田昭子 金子亜未(以上オーボエ)
和久井仁(イングリッシュホルン)
マイスター・ミュージック
MM-4045 ¥3000+税