タイトルの「ディアーナ」とは静慮、禅那を意味するサンスクリット語。1曲目のスクリャービン「アルバムの綴り」から、研ぎ澄まされた一音一音の生成、減衰を聴き取らせる間合いなど、繊細かつ自然な音楽作りで聴き手の集中力を覚醒させる。平澤真希は、「愛の夢」「トロイメライ」など、いわゆる名曲を選んではいるが、“光”のみならず“影”の存在も感じさせる「月の光」、ペダル使用を最小限に抑えた「エリーゼのために」、ピアニスティックな美しさをまとった平澤編曲の「タイスの瞑想曲」には、新たな作品像と出会うことのできる、ただならぬ魅力がある。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2018年12月号より)
【information】
SACD『ディアーナ/平澤真希』
スクリャービン:アルバムの綴り/ショパン:ノクターン第14番、ワルツ第7番/リスト:愛の夢第3番/ブラームス:間奏曲 op.118-2/シマノフスキ:練習曲 op.4-3/ドビュッシー:月の光/マスネ(平澤編):タイスの瞑想曲/シューマン:トロイメライ/ベートーヴェン:エリーゼのために 他
平澤真希(ピアノ)
アールアンフィニ(ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメント)
MECO-1051 ¥3000+税