【CD】ベートーヴェン&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 /庄司紗矢香&テミルカーノフ

 庄司紗矢香、満を持してのベートーヴェン&シベリウスの協奏曲録音は驚くべき名演奏で、もはやこれは大家の芸だろう。特に前者。テミルカーノフの作り出すゆったりと深みのあるサポートの上で、庄司はあらゆるフレーズの細部にまで丁寧で血の通った表情を纏わせているが、それにしてもその繊細さは驚くべきもの。流れも自然でその音楽は清流の如く透明。自作のカデンツァも秀逸だ。後者も同路線であるが、ここでは濃密な第2楽章と落ち着き払った風格を持つ終楽章が見事な出来栄え。ソロにややオン気味のマイクも庄司の張り詰めた音色を見事に捉えている。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2018年11月号より)

【information】
CD『ベートーヴェン&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 /庄司紗矢香&テミルカーノフ』

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
シベリウス:同

庄司紗矢香(ヴァイオリン)
ユーリ・テミルカーノフ(指揮)
サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団

収録:2017年10月、サンクトペテルブルク(ライヴ) 他
ユニバーサル ミュージック
UCCG-1811 ¥3000+税

  • La Valseの最新記事もチェック