【CD】太陽と愛/ジュゼッペ・サッバティーニ

 10年ぶりの歌手復帰には驚いた。9〜10月の来日に合わせて、津田ホールでの1994年のライヴの再発。当時36歳。コントラバス奏者だった彼が本格的に声楽に取り組んだのは30歳の頃。2年も経たずにローマやミラノに主役デビューしていったのだからモノがちがう。このライヴも、6年の声楽キャリアとは到底思えない成熟した声を駆使して、かなり情熱的に歌っている。トスティでは楽譜から溢れ落ちそうな露わな情熱が新鮮。後半のナポリ民謡が圧倒的にいい。50歳での指揮者転向プランは随分前から公言していた。今度はどうなるのだろう?
文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年11月号より)

【information】
CD『太陽と愛/ジュゼッペ・サッバティーニ』

トスティ:魅惑、最後の歌、もう君を愛さない、かわいい口もと、夜明けが光と闇を分かつように、さらば!/プッチーニ:太陽と愛、あのいつわりの約束、そして小鳥は/カルディッロ:カタリ/デ・クルティス:帰れソレントへ、泣かない君 他

ジュゼッペ・サッバティーニ(テノール)
マルコ・ボエーミ(ピアノ)

収録:1994年4月、津田ホール(ライヴ)
マイスター・ミュージック
MM-4042 ¥3000+税