アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2018-2019後期 Vol.2 ドレスデン聖十字架教会合唱団 クリスマス・コンサート

800年の伝統を誇る名門聖歌隊による賛美の歌声

C)Matthias Krueger

世界最高峰の教会聖歌隊、ドレスデン聖十字架教会合唱団が今年もクリスマスにやってくる。合唱団単独の来日としては3年ぶり5回目。彼らの本丸である宗教曲を中心に、〈菩提樹〉〈ローレライ〉といった有名ドイツ歌曲などで、清澄な祈りのハーモニーを聴かせる。音楽監督・指揮はローデリッヒ・クライレ。
同じドレスデンのシュターツカペレ(国立歌劇場管弦楽団)が1548年創設で「世界最古のオーケストラのひとつ」といわれているわけだが、聖十字架教会合唱団はその成立をなんと1216年までさかのぼることができるというから、すごい。音楽史では、多声音楽がようやく本格的に発展し始めた時代。つまり、クラシック音楽史をほぼまるまる飲み込んで活動してきた彼ら。その歌声を聴くことは、そのまま西洋音楽の歩みを聴くことでもあるのだ。
壮大な歴史の中で現代も、ペーター・シュライアー、テオ・アダム、オラフ・ベーア、ルネ・パーペらの名歌手たちや、かのカール・リヒターなどそうそうたる音楽家が輩出している名門だ。現在のメンバーは9歳から19歳まで約150人。19歳までということは、変声したテノールとバスもいる混声合唱編成なので、あらゆる合唱のレパートリーをカバーできるわけだ。来日の日程は待降節と重なる。クリスマスを準備する期間であり、教会暦の1年の始まり。少し敬虔に、気持ちも新たにクリスマス・コンサートを楽しみながら、800年の歴史と伝統が織り込まれた美しい響きを、全身で感じたい。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年11月号より)

2018.12/4(火)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
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