垣岡敦子(ソプラノ)

愛と宝石の煌めきに満たされる一夜を

C)FUKAYA Yoshinobu/auraY2
 イタリアで研鑽を積んだ叙情的で深みのある声を持つ王道ソプラノ、垣岡敦子。「オペラにおける“愛”は憎しみや欲望と表裏一体となって究極のドラマを生む原動力」と語る彼女が「愛の歌」をテーマに紡ぐ人気リサイタルも今年で5回目。
 レオンカヴァッロの情熱的な朝の歌「マッティナータ」に始まる今回のプログラム、次で趣をがらりと変えて、ロマンティックで繊細の極みのようなR.シュトラウスの名歌曲「明日!」の世界に。
「私の描くこの曲のイメージは、恐らく喧嘩した翌朝、ただ黙って一緒に砂浜を歩く男女…言葉は交わさなくともお互いに理解し合い、夢と希望を持って未来へ漕ぎ出そうとしている。音の一つひとつを疎かにできない難曲ですが、穏やかな静けさの中でまどろむように愛を語る甘美なひとときを、会場の皆さんと分かち合いたいですね」
 第1部の後半ではチレア《アドリアーナ・ルクヴルール》のアリアなど、リクエストの多い得意曲を披露。存在感ある歌唱と舞台映えする容姿で注目のテノール、古橋郷平とマスカーニ《友人フリッツ》から〈さくらんぼの二重唱〉なども楽しみだ。
「お客様からも古橋さんとは声の相性がぴったりと好評いただいており、関西人同士で、お互いに遠慮なく何でも話せる仲なので、舞台でも自然体で共演できるんです」
 第2部はオペレッタで華やかに開幕。プーランク「愛の小径」ではピアノの村上尊志との絶妙な掛け合いも聴きどころだ。
「即興を交えてシャンソン風に楽しく歌いたい。村上さんならすべて受け止めてくれるので安心して委ねられます」
 ハイライトはフランス・オペラのナンバー。甘く切ない旋律に彩られたマスネに続いてグランド・オペラの雄グノーの《ファウスト》からの名場面が登場。古橋とのデュエット曲も目玉だが、スイスが誇るラグジュアリーな宝飾ブランド「ショパール」とのコラボで本物のハイジュエリーを身に付けて歌う〈宝石の歌〉は見逃せないだろう。
「昨年も1部と2部とで、2種類付け替えで総額約2億5千万円ものハイジュエリーをショパールさんからご提供いただきました。コンサート会場では日常の煩わしいことから解放されて、皆さんに素敵な夢を見ていただきたいので、できるだけ華やかな世界を作りあげたい。今回もそんな想いから曲目や演出だけでなく、照明も衣装もトータルでプロデュースを手掛けました。もちろんそうやって衣装や舞台をゴージャスに設えても歌そのものが伴わなかったら全く意味がない。今年もあの輝きに見合った本物の歌をお届けできるよう、ベストを尽くしたい! どうかご期待下さい」
取材・文:東端哲也
(ぶらあぼ2018年10月号より)

垣岡敦子ソプラノ・リサイタル〜Amore 愛の歌 Vol.5〜
2018.10/12(金)19:00 Hakuju Hall
問:ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 
http://www.bflat-mp.com/