滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、プロデュースオペラ《ニーベルングの指環》第2日《ジークフリート》を2019年3月に上演する。8月1日、制作発表会が開かれた。登壇者は山中隆・びわ湖ホール館長、沼尻竜典・同芸術監督、そしてブリュンヒルデ役の池田香織(メゾソプラノ)の3名。
まずは山中館長の挨拶から。
「びわ湖ホールは、この9月5日に開館20周年を迎え、記念事業として9月30日にマーラー『千人の交響曲』を演奏するが、すでに完売という嬉しい状況。“びわ湖リング”も関西圏はもちろんのこと、首都圏ふくめ各地から観客が訪れるという嬉しいデータが出ている。《神々の黄昏》まで完売を続けさせたい」と意欲的だ。
続いて沼尻芸術監督が作品と演出について次の通り語った。
「《ジークフリート》は、蛇を退治し、宝物を得て、眠りについているブリュンヒルデを眠りから覚ます、という単純なストーリー。しかし、ワーグナーは大量のテキスト(台本)を書いており、曲としては《神々の黄昏》の方が長いけれど、テキストは《ジークフリート》の方が多い。歌手も私もかなり勉強しなければいけない。作品としては単純なようで難易度は高い」。また、演出家のミヒャエル・ハンぺに関して「今年で84歳だが、稽古場では一番元気。演出はオーソドックスになると思う。ワーグナーが台本に記したことをテクノロジーを駆使して忠実に再現するという方針はいつもと同じ。賛成派、反対派みなさんに観てもらいたい」。キャスティングについては「私一人で決めている。所属する団体の枠を超えて日本人の優れた歌手、海外の歌手ふくめグローバル・スタンダードで選んでいる。本当の歌手の実力主義が生まれると思う」。
最後に、これまで《ラインの黄金》エルダ、《ワルキューレ》ブリュンヒルデを歌い、今回もブリュンヒルデ役で出演する池田香織。
「演出のハンぺさんは時間をかけて、妥協することなく芝居をつくるので、みんなの連帯感が生まれる。方々から集まった仲間たちと練習し、切磋琢磨することは良い経験。今回は、強靭な声を持つ題名役のクリスティアン・フランツさんとの共演を特に楽しみにしている」と結んだ。
(ぶらあぼ2018年9月号より)
滋賀県立劇場びわ湖ホール
http://www.biwako-hall.or.jp/