大萩康司●ギター

ギターを軸とした小宇宙的世界を愉しもう

「イタリアの音楽ですから『赤は赤、青は青』という明快な感触があり、それをギターでどう表現していくかが大きな課題。現代のギターで演奏しますが、弦のタッチや爪の長さなどを考え、19世紀ギターのようなニュアンスを出せないかと試行錯誤しているとこです。もちろんヴィヴァルディは純粋なギター曲を残さなかったわけですが、ジョン・ウィリアムズが早くから弾いていたためにギタリストにとってはなじみ深い作曲家。J.S.バッハも同様で、『この曲を弾きたい!』という憧れからスタートしているのです。ですがギターよりもチェンバロやマンドリンなど他の楽器による演奏から得るものも多く、視野だけは閉じないように心掛けています」
ほかに、中世の音楽などを独特の深遠な美で表現する声楽アンサンブル「ヴォーカル・アンサンブル カペラ」と荘村+福田の共演(8/30)や、ナクソス・レーベルのCD等で知られるグレアム・アンソニー・デヴァインがJ.S.バッハ+ブリテンを弾くソロ・リサイタル(同)などもあり、まさにギターを軸とした小宇宙的世界が3日間にわたって繰り広げられる。
大萩自身もこの音楽祭が開催されるHakuju Hallにおいて、2014年1月に開催される第100回リクライニング・コンサート(ホール開館10周年)の記念ガラへ出演するなど、この空間との結びつきを深めている。繊細なギターのサウンドが心地よく、そしてナチュラルに響くHakuju Hallへ足を運び、晩夏のひとときに音楽で潤いを。
写真:中村風詩人 取材・文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ 2013年6月号から)

profile
おおはぎ やすじ●高校卒業後にフランスに渡り、パリのエコール・ノルマル音楽院、パリ国立高等音楽院で学ぶ。ハバナ国際ギター・コンクール第2位、合わせて審査員特別賞を受賞。日本国内での精力的な活動に加え、フランス、イタリア、スイス、ベルギー、アメリカ、キューバ、コロンビア、韓国など世界各地に活躍の幅を広げている。ルネサンスから現代曲まで多くのレパートリーを持ち、ソロ、室内楽、協奏曲と幅広く取り組んでいるほか、ジャズ・ギタリストの渡辺香津美、小沼ようすけらとの共演や、ダンサーの近藤良平とのコラボレーションなど多彩な活動を展開している。これまでに12枚のCDおよび2枚のDVDをリリース。第6回ホテルオークラ賞、第18回出光音楽賞受賞。宮崎県生まれ。
公式ブログ
http://ohagiyasuji.cocolog-nifty.com

■公演情報
第8回 Hakujuギター・フェスタ 2013
Baroque バロック
【第1日】 8月30日(金) 19:00 第1部 中世ルネサンス/第2部 デヴァインSolo
【第2日】 8月31日(土) 16:30 旬のギタリストを聴く〜山田岳リサイタル
18:30 バッハ 第1部 荘村清志 福田進一 solo
第2部 ギタリストの饗宴ーフランチェスコ・トリスターノ新曲世界初演
【第3日】 9月1日(日) 15:00 ヴィヴァルディ ※大萩康司出演
会場:Hakuju Hall

第100回 リクライニング・コンサート
10周年記念スペシャル・ガラ
2014年1月19日(日)14:00/17:00・Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp
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