2014年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第2位などの受賞歴を誇り、20代にして幅広く活躍中の若きヴァイオリンの名手、青木尚佳。R.シュトラウスのソナタを軸とし、その前後にウィーンの粋を聴かせる有名曲を並べたコンサートのライヴ録音で、魅力的かつ成熟した演奏を披露。ソナタの雄大な構えと繊細な歌心、小品それぞれの小粋な歌い回しの弾き分け、豊かなニュアンスに全体の構築も見事。音色や表現の純度が高いのも好ましく、若くして正攻法で聴く者を惹きこんでしまう。“期待の若手”どころか、これからも飛躍を続ける“未来の大家”の登場を確認できる一枚だ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年8月号より)
【information】
CD『Ein Konzert/青木尚佳』
モーツァルト(クライスラー編):ロンド/クライスラー:プレリュードとアレグロ、美しきロスマリン、愛の悲しみ、愛の喜び、ウィーン風小行進曲/R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 他
青木尚佳(ヴァイオリン)
中島由紀(ピアノ)
収録:2017年10月、Hakuju Hall(ライヴ)
フォンテック
FOCD9778 ¥3000+税