紀尾井 明日への扉 第20回〜第23回

“今が旬”の若手による意欲的な演奏を目の当たりにする


 愛すべきヴェニュー、紀尾井ホール(運営:公益財団法人 新日鉄住金文化財団)は、演奏家を育む。伸び行く才媛、俊英にリサイタル(!)の機会を授け、文字通り「明日への扉」を開くのだ。
 早6年目を迎えた同ホールの名物企画。2018年度の4公演も決まった。まずは、昨年のミュンヘン国際音楽コンクールで第3位と委嘱作品の最も優れた演奏に贈られる特別賞を受賞したピアノの久末航(ひさすえ・わたる)(7/31)。鍵盤芸術の古典、フランス音楽の花束、それにカーターという時空を超えたプログラムで、東京の晴れ舞台に名乗りを挙げる。ミュンヘンで弾いたデュサパンの「Did it again」(コンクール委嘱作品)も添えられた。
 続いて昨年の神戸国際フルートコンクールで日本人最高位の第4位を受賞した秋元万由子(10/16)。プロコフィエフのソナタにシューベルトの名変奏曲、武満徹、タファネルとフルート好きには堪えられない選曲だ。
 コンサートマスターや室内楽にも、うまみを発揮するスペインのヴァイオリニスト、フランシスコ・フラナも選ばれた(11/30)。20世紀初頭にティボーのために書かれた、とされるグラナドスの秘曲ソナタは聴き逃せない。定番のフランクのソナタも注目だ。
 今年度のラストを飾るのは、小澤征爾、ファビオ・ルイージ、パーヴォ・ヤルヴィとの共演も記憶に新しいソプラノの三宅理恵(2019.2/22)。東京での本格的なリサイタルはこれが初めてというから驚く。華やかなアリアもさることながら、ゴードンの「朝は本当にあるの?」と藤倉大の「世界にあてた私の手紙」ソプラノ版世界初演が予定され、これは創造的なライヴとなる。
 全4公演。体感したいものである。
文:奥田佳道
(ぶらあぼ2018年5月号より)

第20回 2018.7/31(火) 久末 航(ピアノ)  
第21回 2018.10/16(火) 秋元万由子(フルート)
第22回 2018.11/30(金) フランシスコ・フラナ(ヴァイオリン)
第23回 2019.2/22(金) 三宅理恵(ソプラノ)
各日19:00 紀尾井ホール 
4公演セット券:5/11(金)発売
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 
http://www.kioi-hall.or.jp/