自分が本当に言いたいこと、それが交響曲になるのです
このコンサートでは、「悲しみの森」、チェロ協奏曲「木に同じく」も披露される。演奏は下野竜也指揮の東京交響楽団で、チェロは向山佳絵子。
「『悲しみの森』は、木や森、そして自然というテーマにつながっていて、新作の『第9』と共鳴する世界を描いています。また『木に同じく』は阪神大震災を契機に書いた曲で、人間が抗うことのできない自然の力が主題。演奏会全体で、一つの方向性を打ち出すプログラミングになったと思っています。チェロ協奏曲は、初演者の向山佳絵子さんが今回も弾いてくれます。向山さんは僕がずっと前から注目していたチェリスト。感性の鋭さが素晴らしい。音楽のつくり方が自在で、技巧に走りすぎないところもいいですね。指揮者の下野さんは、若いけれど、結構付き合いが長くて、僕の曲もいくつか初演してくれています。作曲者の僕に電話でスコアの細部について質問してくるほど、勤勉で譜読みがとても細かいのです。今回も、新作を熱心に読み込んでよい演奏をしてくれると思うので、期待しています」