シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団

お気に入りのラモー作品と古典派の名作を披露

 読響の2018/19シーズンが4月よりスタートする。これまで数々の名演を聴かせてくれたシルヴァン・カンブルランが、常任指揮者として最後のシーズンを迎えるとあって、いっそうの注目が集まりそうだ。
 そのカンブルランが「土曜/日曜マチネーシリーズ」で最初に取り上げるのは、フランス・バロックとウィーン古典派を組み合わせたプログラム。ラモーの歌劇《ダルダニュス》組曲より、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」(独奏は佐藤俊介)、そしてベートーヴェンの交響曲第7番。今季は3期9年にわたる集大成として、マエストロにとって特別に大切なレパートリーが選ばれているのだろう。各国各時代を代表するような名曲が数多く並んでいる。
 カンブルランと読響のラモーといえば、以前《カストールとポリュックス》組曲で愉悦にあふれた快演を披露してくれたのを思い出す。ラモーの音楽が持つ“臆面もない楽しさ”を味わいたいもの。
 モーツァルトでソロを弾く佐藤俊介は、コンチェルト・ケルンおよびオランダ・バッハ協会のコンサートマスターを務める気鋭。モダン・ヴァイオリンとバロック・ヴァイオリンの両方を自在に操る新時代の才人である。カンブルランとの共演で、どんなモーツァルトを聴かせてくれるのか、興味津々。
 ベートーヴェンの交響曲第7番は王道の名曲であるが、カンブルランの手にかかれば新鮮な喜びをもたらしてくれるはず。エキサイティングかつスタイリッシュなベートーヴェンを期待したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年3月号より)

第206回 土曜マチネーシリーズ 
2018.4/7(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第206回 日曜マチネーシリーズ 
2018.4/8(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問 読響チケットセンター0570-00-4390 
http://yomikyo.or.jp/