マルティーノ・ティリモ(ピアノ)

シューベルトに滲む深い音楽性


 “いぶし銀”という言葉が、まさに相応しい。数々の名演を生み出し、往年のピアニスト、シュナーベルやアラウを思わせるピアノの巨匠、マルティーノ・ティリモ。冬の日本へ降臨し、得意とするシューベルトとショパンの名品だけで組み上げたプログラムを通じて、聴衆の心に温かな灯をともす。
 キプロス生まれ。8歳でソリスト・デビュー、12歳でミラノ・スカラ座のキャストによるヴェルディ《椿姫》を指揮するなど、神童ぶりを発揮。英国王立音楽院やウィーン国立音大で学び、ミュンヘンとジュネーヴの国際コンクールを制した。世界の一線楽団と共演し、EMIなどから50を超える録音を発表。現在は、後進の指導にも力を注いでいる。
 今回の来日リサイタルでは、「楽興の時」全6曲と最晩年に書かれた「ソナタ第20番」という2つのシューベルトの傑作に、「バラード第4番」「スケルツォ第2番」とショパンの佳品を挟み込む。特に「作曲家の存在を聴衆に感じさせる、想像力を持つ」と評される、彼のシューベルト。深い精神性で、魅せてくれよう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年2月号より)

2018.2/13(火)19:00 フィリアホール
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2018.2/14(水)19:00 京都コンサートホール(小)
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