パイプオルガンと能舞が織りなす“いのり”の空間
共に長い時間に培われた2つの芸術が今、サラマンカホールで邂逅する。宝生流シテ方の大家・辰巳満次郎が、鈴木優人が弾くスペイン・サラマンカ大聖堂の楽器を再現したオルガンの音色をバックに舞う、新作能舞「サラマンカ」。この出会いが決して偶然ではないと、確信できよう。
日本の祈りの舞「能」と、祈りの響きを紡ぐ欧州の「オルガン」。今回の「サラマンカ能」で初演される新作は、共通する“いのり”をコンセプトに、辰巳が能の扮装と手法を用いつつ、2つの芸術の融合を目指す。続いて、玉井博祜(ひろこ)が地謡を伴い、面・装束を付けない“仕舞”で「江口」を上演。これらに先立ち、「能のみどころ」の解説も行われる。さらに、彫刻師を騙る男と依頼者の珍妙なやり取りを描く狂言の古典「仏師」を、野村又三郎(シテ=主役)と野村信朗(アド=脇役)で披露。最後に、静御前と源義経の別れを描く能の古典「船弁慶」が、辰巳のシテ(静御前・平知盛)と福王和幸(弁慶)、片桐遵(義経)、野村又三郎(船頭)、藤田六郎兵衛の笛ほかで上演される。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年1月号より)
2018.1/27(土)14:00 岐阜/サラマンカホール
問:サラマンカホール チケットセンター058-277-1110
http://salamanca.gifu-fureai.jp/