紀尾井ホール室内管弦楽団によるアンサンブルコンサート②  知られざるモーツァルト「教会ソナタ」の楽しみ

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 1月27日はモーツァルトの誕生日。2018年のこの日、「教会ソナタ」を軸とした興味深いコンサートが、紀尾井ホールで行われる。1772年に着任したザルツブルク大司教コロレードは、大掛かりになり過ぎたミサの音楽の簡略化を図った。それに即して書かれたのが各曲3〜5分の教会ソナタ。今回はモーツァルトが残した17曲のうち、オルガン&弦楽器のための14曲が全て披露される。これらはミサ用といえども、優美で軽快な耳馴染みのよい音楽ばかり。しかも「K.67」から「K.336」まで広い時期の作品が、曲想を考慮して入れ替えた形で演奏されるので、多彩かつ気軽なエッセイ感覚で愉しむことができる。
 さらに今回は、珍しい「バッハの平均律クラヴィーア曲集から5つのフーガ K.405」も要注目だ。モーツァルトは1782年ウィーンで、ヴァン・スヴィーテン男爵を通してバッハやヘンデルの作品を知り、フーガの試作や編曲を集中して行った。同曲はその1つで、第2巻からのフーガの弦楽四重奏版。いわば“バッハとモーツァルトの夢のコラボ”でもある。加えて、自動オルガンのための「アンダンテ K.616」、弦楽のための「アダージョとフーガ K.546」も披露され、前者では最晩年の清澄なトーン、後者ではハ短調のシリアスな迫力を味わえる。
 演奏は、著名楽団の首席奏者や敏腕奏者で構成された紀尾井ホール室内管のメンバーたち(ヴァイオリン:野口千代光、森岡聡、ヴィオラ:小峰航一、チェロ:菊地知也、コントラバス:吉田秀)。これに古楽の鍵盤楽器で活躍する大塚直哉のオルガンが加わる。定期やアンサンブル公演で継続してモーツァルトに取り組んできた室内管の実績からも期待は大。ここはぜひ皆集って、貴重な体験を満喫したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年1月号より)

2018.1/27(土)15:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 
http://www.kioi-hall.or.jp/