本場のウィンナ・ワルツで新年のスタートを
クラシック・ファンならニューイヤーはウィンナ・ワルツで、という人も多いはず。聴き手をワクワクさせるチャーミングな歌い出しから体の動きに合わせた独特の拍の取り方まで、ウィンナ・ワルツには現地の人でないとなかなか出せない“本場の味わい”がある。どんなに語学が堪能な人でもネイティヴになりきれないのと似て、こうした味わいはなんといっても本場が強い。
さて、1997年に設立されたウィーン・シェーンブルン宮殿オーケストラは、基本的にウィーンで学び活動しているメンバーが結集した、いわば音楽上のネイティヴ集団だ。ハプスブルク家の歴代皇帝一族が離れとして用いた宮殿を本拠地に、ウィーンゆかりの作曲家の作品、とりわけハプスブルク王朝の輝きを彩るウィンナ・ワルツやオペレッタのナンバーを日常的に演奏している。この宮殿の音楽ホールは大理石で覆われ、空間装飾だけでなくゴージャスなサウンドでも知られているから、その音楽もおのずと気品と輝きを帯びるのではないか。
さて2018年初め、彼らは新春コンサートを終えたその足で日本に駆け付け、「美しく青きドナウ」「皇帝円舞曲」などJ.シュトラウスⅡのおなじみのメロディーだけでなく、カールマンやレハールのロマンティックな、あるいはエキゾティックなオペレッタのナンバーなど本場の味をたっぷりと披露してくれる。指揮は近年ウィーンを中心に活躍する若き首席客演指揮者のヴィニシウス・カター、歌唱はやはりウィーンに音楽のアイデンティティを持つシモーナ・アイジンガー(ソプラノ)、フィリップ・シュピーゲル(バリトン)だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2017年12月号から)
2018.1/11(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp/