バイエルン国立歌劇場2017-18シーズンの新制作、プッチーニの歌劇三部作《外套》《修道女アンジェリカ》《ジャンニ・スキッキ》が去る12月17日、開幕した。指揮はキリル・ペトレンコ、演出にロッテ・デ・ビア、歌手陣にはアンブロージョ・マエストリ、ウォルフガング・コッホ、エルモネラ・ヤオ、ミヒャエラ・シュースター、ヨンフン・リー、エヴァ=マリア・ウェストブルック他、錚々たる顔ぶれがそろい、早くからチケットが完売するなど、話題となっている舞台だ。開幕公演を取材した。
(2017.12.17 バイエルン国立歌劇場 Official Photo:Wilfried.Hoesl Report&Photo:M.Terashi/TokyoMDE)
プッチーニの三部作は、「嫉妬を巡る、メロドラマ」である《外套》、「罪の世界を描く、謎めいた演劇的世界」の《修道女アンジェリカ》、そして、「コメディ」の《ジャンニ・スキッキ》の3つのオペラを一夜で上演するもの。生前、プッチーニが三部作としての上演を意図して作曲した。
今回のロッテ・デ・ビアの演出では、《外套》《修道女アンジェリカ》というふたつの悲劇が「葬儀」によってシームレスに結ばれ(このあと休憩が挟まれる)、《ジャンニ・スキッキ》へと移っていく。
舞台は3つの作品を通じて共通の、巨大なチューブ(トンネル)のなかで繰り広げられ、そこに人々の閉塞的な世界を示す。演じる歌手たちは、もっぱら黒を基調とした暗い世界(外套)、輝く清純な白(修道女アンジェリカ)、中世風のカラフルな衣装(ジャンニ・スキッキ)と、それぞれに特徴をもつ衣裳を身にまとう。そして、折々に姿を変える装置と、絶妙なバランスとタイミングで「光と影」が効果的に音楽に寄り添う。
キリル・ペトレンコの指揮は精細を極め、彼の、この作品にかける愛をまざまざと感じさせるものだが(そして、それに完全に応える管弦楽団の見事なこと!)、なによりも、ときに歌声よりも雄弁に語りかける歌手達の細かい表情と演技は、登場人物たちの感情の揺れを表出させ、音楽と相まって観る者の心に突き刺さる。
ガラ公演?!と言われても納得してしまうほどの豪華な歌手陣は、とくに、《ジャンニ・スキッキ》で絶妙なアンサンブルを奏でていた。
しかし、この日もっとも大きな喝采が贈られていたのは、他の多くの歌手よりもひときわ小柄でありながら存在感ある修道女アンジェリカを演じたエルモネラ・ヤオだった。
同公演の模様は、日本向けフルHDの高画質無料ライブ・ストリーミング「STAATSOPER.TV」として、12月24日(日)午後7時から24時間限定オンデマンド配信される。(現地時間12月23日(土)に上演、収録)
◆オンデマンド配信スケジュール:
・プッチーニ 三部作《外套》《修道女アンジェリカ》《ジャンニ・スキッキ》(新演出)
12月24日(日)午後7時〜12月25日(月)午後7時(現地開催日程:12月23日上演)
◆視聴URL:https://www.staatsoper.de/tv-asia (英語字幕)
※配信当日に上記サイトよりご覧いただけます(上記リンク先で観られない場合はこちら http://www.operlive.de )
**バイエルン国立歌劇場 今後の配信スケジュール**
リヒャルト・ワーグナー『ニーベルングの指環』《ワルキューレ》(新演出)
1月23日(火)午前8時〜1月24日(水)午前8時(現地開催日程:1月22日上演)
視聴 URL:https://www.staatsoper.de/tv-asia 英語字幕
演出:アンドレアス・クリーゲンブルク 指揮:キリル・ペトレンコ
出演:出演:サイモン・オニール、アニヤ・カンペ、ニーナ・シュテンメ、ウォルフガング・コッホ、エカテリーナ・グバノヴァ、アイン・アンガー、他
●バイエルン国立歌劇場
https://www.staatsoper.de/