ホセ・カレーラス テノール・リサイタル2017 Intima いとしいひと

“レジェンド”が贈る愛の歌

 ホセ・カレーラスが紡ぐ、魅惑の歌声。直に触れられる私たち現代の聴衆は、何と幸せ者だろうか。もはや、彼の存在自体が“レジェンド”と言えよう。そんな現代スペインを代表する名テノールが、今秋来日する。「Intima〜いとしいひと〜」と題したリサイタルで、聴く者すべての心を揺り動かす、愛の歌の真髄を聴かせてくれる。
 バルセロナに生まれ、23歳で本格デビュー、翌年にはヴェルディ国際声楽コンクールで優勝し、一躍スターダムへ。ミラノ・スカラ座など世界の檜舞台で活躍するも、40歳で白血病に罹患。しかし、2年後に復帰を果たし、43歳からは故ルチアーノ・パヴァロッティやプラシド・ドミンゴと共に「三大テノール」の活動を展開、幅広い聴衆を虜にした。
 「私が取り上げる曲は、様々な表情を持ちつつも、必ずintimacy(親密さ、愛情)に溢れています。つまり、多くが愛する人に向けた歌です。だから、Intimaをタイトルに選びました」。イタリアの実力派ピアニスト、ロレンツォ・バヴァーイと共演するステージでは、南米の作曲家タタ・ナーチョの「いとしいひと」をはじめ、トスティ「かわいい口元」、ファルヴォ「彼女に告げて」など、長年慈しんできた名旋律を取り上げる。
 「文化的な背景や思想が異なるため、国ごとに聴き手に違いがあります」と前置いて、「落ち着きがあり、熱心で知識が豊富」と日本の聴衆を評するカレーラス。「常に熱心に、敬意をもって接して下さることに、感謝の気持ちしかありません。日本へ行く“秋”を、楽しみにしています」と語る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2017年11月号より)

2017.11/18(土)19:00 サントリーホール
問:ビザビジョン03-5778-3403 
http://visavision.co.jp/

他公演
2017.11/21(火)大阪/ザ・シンフォニーホール(06-6453-2333)
2017.11/26(日)いわき芸術文化交流館アリオス(ビザビジョン03-5778-3403)