ニコライ・ズナイダー(ヴァイオリン)

13年ぶりの来日で待望のリサイタルが実現!

©Lars Gundersen

ウィーン・フィルやベルリン・フィルと共演するなど、現代を代表するヴァイオリニストの一人であるニコライ・ズナイダーが久々に来日し、リサイタルを開く。
プログラムは、浜離宮朝日ホール公演が、ベートーヴェンのソナタ第8番、シューマンのソナタ第2番、ショスタコーヴィチの「4つのプレリュード」、ブラームスのソナタ第3番。
「プログラム構成がとても重要でした。ベートーヴェンとブラームスの音が絡み合うところに、このプログラムの美しさは存在するのです。ベートーヴェンとブラームスのソナタを比較することで、それぞれの作品での楽器の持つハーモニーの可能性が表され、両曲が厳格な古典的な様式を保ちつつ素晴らしい発展を遂げたことがわかります。ブラームスのソナタ第3番は、最高の様式のなかに、とても複雑でポリフォニックな構造が現れてくるところにその素晴らしさがあります。これは、古典的な様式から離れることのないベートーヴェンのソナタ第8番と、美しく対峙しています」
続いてシューマンとショスタコーヴィチについて。
「ヴァイオリンとピアノの、時に驚くほど異なる2つの楽器の音域が結びついた切ないメロディによる“シューマンの世界”に連れて行かれた時、私たちは2つの楽器の“対話”をフーガのように感じるのです。ショスタコーヴィチ『4つのプレリュード』は、ピアノのための前奏曲集から選ばれた、名奏者ドミトリー・ツィガーノフの真に“ヴァイオリン的な”自然さを持つ編曲によるもので、これを演奏できるのも楽しみです」
フィリアホール公演ではベートーヴェンとシューマンの同ソナタにフランクのソナタが組み合わされる。ピアノは両公演ともロベルト・クーレックが務める。
ズナイダーは、近年指揮活動にも積極的だ。
「10年前から指揮を始めましたが、私にとって自然な進化の形でした。ヴァイオリンの演奏と指揮では異なるセンスが求められますが、どちらも楽しんでいます。マリインスキー劇場管弦楽団の首席客演指揮者を務められることは大きな喜びですし、ここでは多数のオペラのレパートリーに取り組んでいます。今シーズンは、モーツァルトが残したダ・ポンテ三部作のうち《ドン・ジョヴァンニ》と《フィガロの結婚》、そしてワーグナーの《ローエングリン》とR.シュトラウスの《ばらの騎士》第1幕を指揮します」
2017年もヴァイオリンに指揮に大活躍である。
「今、ロンドン交響楽団とのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全曲を弾き振りでレコーディングするというプロジェクトに取り組んでおり、16年12月に第1番と第4番を録りました。これから第2番、第3番、第5番を録音します。指揮者としては、オペラのレパートリーを広げていきます」
取材・文:山田治生
(ぶらあぼ 2017年3月号から)

4/18(火)19:00 浜離宮朝日ホール
4/20(木)19:00 フィリアホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
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