藤井玲南&林眞暎、「海」をテーマに横須賀でデュオ・リサイタル開催

左:藤井玲南 ©Toshiyuki Tanaka
右:林 眞暎 ©Ayustet

 若手歌手2人が5月にヨコスカ・ベイサイド・ポケットでデュオ・リサイタルを開催。格別のきりっとした音色を有するソプラノと、深く厚い声音のメゾソプラノ/コントラルトが、歌曲やオペラで響きをしっとり重ね合う。土曜の午後、潮風を思わせる爽やかな歌声に浸ってみるのはいかがだろう?

 「ソプラノの藤井玲南です。コンサートのテーマは『海』です! ラヴェルの歌曲集『シェエラザード』の〈アジア〉など、大波がざばんと来るような(笑)曲でしょう?」

 「コントラルトの林眞暎です。横須賀といえば海ですから、ロッシーニの歌曲集『ヴェネツィアの競艇』も、海繋がりの運河のイメージで選ばせていただきました」

 歯切れ良く朗らかに語る二人は、東京藝大の先輩・後輩で出身も同じ横浜。ちなみに、ピアニストの斎藤龍も同じく横浜出身で東京藝大の卒業生なのだという。

藤井「斎藤さんは学生時代からの知り合いで、学内でも伴奏をお願いしていました」

「感じ取る力が強い方で、歌にすぐピタッと合わせてくださいます」

 気心知れた3人が繰り広げるコンサート。ロッシーニやドニゼッティの歌曲の二重唱から、オペラのアリアやデュエットまで選曲は幅広い。

藤井「女声同士だと、モーツァルトの《コジ・ファン・トゥッテ》のように姉妹の二重唱もあれば、オッフェンバックの〈ホフマンの舟歌〉のように、片方がズボン役(男役)だと恋人的な関係性になる場合もありますね。曲ごとに役の立場が違うのが面白いんですよ!」

「歌曲でもオペラでも、藤井さんのきらびやかな声と私のダークな音色のマッチングを楽しんでほしいです!」

 ちなみに、林が声を太く強く用いると、男声と聴き間違うほどに強靭な響きになるのが驚き。

「楽屋で発声練習をして出てくると、毎回、『えっ!男性ではなかったの?』と周囲が驚くんです(笑)。今回は中低音がしっかりした曲が多いので、私のコントラルト寄りの声で味わっていただきたいです」

 一方の藤井は声に乙女のイメージが強く、卓抜したコロラトゥーラの技も持つ歌い手だが…

藤井「年齢とともに身体も変わり、精神的にも変わるなか、今の私は『どういう音色を出すか』を特に意識しています。歌いまわしを工夫し、情緒的に響かせたいと思うのです。林さんとだと全く違うタイプの組み合わせなので、新しい声の色合いも生まれると思います」

 最後に一言ずつ。

「イタリア語って元気になれる響きだと思うんです。お友達とご一緒にでも、横須賀にぜひどうぞ!」

藤井「フランス語の柔らかさや、和音のハッとさせられる展開もお楽しみに。ご来場お待ちしています!」

取材・文:岸 純信(オペラ研究家)

(ぶらあぼ2026年5月号より)

横須賀芸術劇場 リサイタル・シリーズ75 藤井玲南 & 林 眞暎 デュオ・リサイタル
2026.5/16(土)14:00 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
問:横須賀芸術劇場046-823-9999 
https://www.yokosuka-arts.or.jp


岸 純信 Suminobu Kishi

オペラ研究家。『ぶらあぼ』ほか音楽雑誌&公演プログラムに寄稿、CD&DVD解説多数。NHK Eテレ『らららクラシック』、NHK-FM『オペラファンタスティカ』に出演多し。著書『オペラは手ごわい』(春秋社)、『オペラのひみつ』(メイツ出版)、訳書『ワーグナーとロッシーニ』『作曲家ビュッセル回想録』『歌の女神と学者たち 上巻』(八千代出版)など。大阪大学非常勤講師(オペラ史)。新国立劇場オペラ専門委員など歴任。