陽光に満ちたイタリア・バロックの愉悦
ヴィヴァルディ「四季」が世界的な大ブームを巻き起こしたのは、約40年前のこと。その火付け役こそが、イ・ムジチ合奏団のディスクだった。そんな、広く音楽ファンになじみ深い名門合奏団が、今秋も来日を果たし、イタリア伝統の明るい音色と端正なテクニックで、バロック音楽の魅力を知らしめてくれる。
1952年、ローマの名門サンタ・チェチーリア音楽院の卒業生たちによって結成されたイ・ムジチ合奏団。大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニはラジオでその演奏を聴き、「音楽はまだ死んでいなかった!」と大絶賛したという。世界的な「四季」ブームを経ても、歌心はそのままに、決して一ヵ所に立ち止まることなく、しなやかにスタイルを進化させて、彼らは常に最先端を走り続けてきた。
まずは紀尾井ホールにて、昨年でデビュー45周年を迎えた、日本が誇るギターの名手・荘村清志をゲストに迎え、ヴィヴァルディとジュリアーニの協奏曲を披露。そこへ、ピアソラ「ル・グラン・タンゴ」やセルバンテス「5つのキューバの舞曲」など、情熱に彩られた南米の作品や、コレッリの傑作を下敷きにしたジェミニアーニの合奏協奏曲第12番「ラ・フォリア」を配する。
サントリーホールの公演では、彼らの“十八番”であり続けている「四季」を核に据えたステージ。ヴィヴァルディと並ぶ大作曲家コレッリ、その弟子であるヴァレンティーニ、ロカテッリと3つの合奏協奏曲の佳品が組み合わされる。陽光に満ちたイタリア・バロックの愉悦が、堪能できよう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)
イ・ムジチ合奏団 with 荘村清志
10/20(火)19:00 紀尾井ホール
イ・ムジチ合奏団 ——ローマ派・コレッリの生徒たち&「四季」
10/24(土)19:00 サントリーホール
問:カジモト・イープラス0570-06-9960
http://www.kajimotomusic.com
他公演
10/2(金)杉並公会堂
10/3(土)長岡市立劇場
10/4(日)佐久市コスモホール
10/9(金)ウェスタ川越
10/11(日)宝山ホール
10/17(土)ザ・シンフォニーホール
10/18(日)横浜みなとみらいホール
10/22(木)秋田アトリオン音楽ホール
10/25(日)豊田市コンサートホール
※詳細は各会場のウェブサイトなどでご確認ください。