夏の軽井沢でモーツァルト尽くし
間もなく570回を迎える定期演奏会を通して、モーツァルトの膨大な作品に取り組んできた日本モーツァルト協会。発足60周年の特別演奏会となる今回は、同協会理事長・三枝成彰のプロデュースにより、日本を代表するピアニストである横山幸雄と仲道郁代を招き、ピアノ・ソナタの全曲演奏会を2日間(4部制)にわたり軽井沢大賀ホールで行う。
古典から近現代作品まで幅広いレパートリーを持つ横山幸雄は、様々な形式でショパンやベートーヴェンの全曲演奏会を開催し、聴衆に多くの驚きをもたらしてきた。モーツァルトの作品には折に触れて取り組んできたものの、まとまった形でソナタを取り上げるのは意外にも今回が初めてであり、新たな領域における横山の挑戦に期待せずにはいられない。
近年「ベートーヴェン弾き」としての地位を確立している仲道郁代も、多彩な趣向を凝らした演奏会を企画するなど、国際的に活動を続けている。モーツァルトの作品に長きにわたって取り組んできた彼女は、既にピアノソナタを全曲録音しており、熟成したモーツァルトが期待される。
演奏会は担当する作品を振り分けて進行するが、K310については横山、仲道の両方の演奏を楽しむことができる。違う角度からのアプローチに触れ、作品の新たな魅力に気づけるはず。また、初日の夜には横山、仲道、三枝による食事付きの『モーツァルトを語る夜学』も軽井沢万平ホテルで開催。それぞれのモーツァルト観など、貴重な話も聞けることであろう。夏の軽井沢という最高のロケーションで、モーツァルト尽くしの時間を堪能してほしい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)
モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会
7/4(土)11:00 16:00、7/5(日)11:00 16:00 軽井沢大賀ホール
問:日本モーツァルト協会03-5467-0626
http://www.mozart.or.jp
7/4(土)19:00 モーツァルトを語る夜学(食事付) 軽井沢万平ホテル
問:メイ・コーポレーション03-3584-1951