新世代の巨匠が2018年以来の手兵を指揮した、メンデルスゾーン作品集。「スコットランド」は、序奏の室内楽的な精緻さが光る第1楽章、各パートが軽妙に躍動する第2楽章、堂々たる音楽がじっくりと形成される第3楽章、コーダへの移行部分のキメ細かさに感嘆させられる第4楽章と、密度の濃い演奏が続く。序曲「静かな海と楽しい航海」は、透明感漂う静けさと軽快な弾みの対照が際立った名演。「3つの無言歌」ではカラフルな音色によってピアノとは違った魅力が醸成されている。ピリオド・アプローチも意識しながら豊穣な音楽が紡がれる、充足感の高い1枚。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年7月号より)
【information】
CD『メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」 他/ラハフ・シャニ&ロッテルダム・フィル』
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、序曲「静かな海と楽しい航海」、3つの無言歌(ラハフ・シャニ編)
ラハフ・シャニ(指揮)
ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13876 ¥3300(税込)