創作の最前線を行くパーカッショニスト、加藤訓子のライヒ&権代敦彦プロジェクト

左より:加藤訓子 ©Michiyuki Ohba/スティーヴ・ライヒ ©Jeffrey Herman/権代敦彦 ©Michiharu Okubo

 パーカッショニスト・加藤訓子は近年、自らの経験の伝授をベースにした若手の育成を掲げつつ、活動を展開している。今年は次の二つに注目だ。

 日本におけるスティーヴ・ライヒ演奏の第一人者として知られる加藤は、来年90歳というライヒのアニバーサリーに向けてSTEVE REICH PROJECTを展開している。今年は昨年のプロジェクトをよりパワーアップしたプログラムを引っ提げて、全国各地で演奏会を開く。

 加藤はライヒ往年の作品をいくつかにプログラミングし、今年度のプロジェクトではそれぞれの会場で異なったピースを披露。昨年に引き続きライヒの代表作「DRUMMING」を若手と共に演奏する(横浜)他、 加藤訓子と4人の奏者からなる「QUARTET」(名古屋・京都)、「kuniko plays reich II」(東京)などを取り上げる。加藤ファン、ライヒファンなら一緒に回れば毎回違う曲目が楽しめる。

 もう一つは神奈川県立音楽堂で開催しているMUSIC DAYシリーズ。こちらは一人の作曲家に焦点を当て、その創作を深堀りする「古代から現代、そして未来へ」という企画で、今年のテーマは権代敦彦。初めて権代作品を手掛けてから40年にわたりその創作を見つめてきた加藤ならではのアプローチを、新野将之、會田瑞樹といった次世代を担うパーカッショニストらとの共演を通じて披露。日本の作曲界で最も重要な仕事をしている権代の打楽器ワールドを知る上でも興味深い。

 これらの後には、バッハやクセナキスをテーマとしたプロジェクトも続くという。

文:江藤光紀
(ぶらあぼ2025年5月号より)

STEVE REICH PROJECT
2025.5/31(土)14:00 17:00 横浜/神奈川県立音楽堂
6/20(金)19:00 名古屋/メニコンシアターAoi
6/21(土)15:00 京都/青山音楽記念館バロックザール
10/22(水)19:00 東京/サントリーホール ブルーローズ(小)

権代敦彦作品集 「古代から現代、そして未来へ vol.2」
2025.9/20(土)14:00 神奈川県立音楽堂 5/31(土)発売

問:芸術文化ワークス080-5075-5038 
https://teket.jp/g/qzdfh7x8i6
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。(スティーヴ・ライヒは出演しません)