【SACD】メンデルスゾーン:交響曲全集 /尾高忠明&大阪フィル

 2023〜24年に行われた尾高忠明と大阪フィルによるメンデルスゾーン・ツィクルスのライブ録音。力みなく、響きをきちっと整理していく尾高のタクトが、これらの交響曲に必須な軽快さ、明快さをよく引き出している。なかでも、第2番「讃歌」は、明晰にして柔らかい響きを全体に及ぼし、断絶しがちな器楽のみの第1部とカンタータの第2部に一体感をもたらす。合唱および独唱も雄弁だ。第5番「宗教改革」終楽章のフガートの処理もしなやかにして峻厳、暖かいコーダを導く。第3番「スコットランド」の引き締まった運びのなかにふっと漂う陰影感もいい。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2025年5月号より)

【information】
SACD『メンデルスゾーン:交響曲全集/尾高忠明&大阪フィル』

メンデルスゾーン:交響曲第1番〜第5番「宗教改革」、序曲「静かな海と楽しい航海」、同「ルイ・ブラス」、同「フィンガルの洞窟」

尾高忠明(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団
盛田麻央 隠岐彩夏(以上ソプラノ) 
吉田浩之(テノール)

収録:2023年6月、ザ・シンフォニーホール(ライブ) 他
オクタヴィア・レコード
OVCL-00831(3枚組) ¥8800(税込)