
東京交響楽団の指揮台にフィンランドの巨匠オスモ・ヴァンスカが帰ってくる。2025年3月の東響定期に初登場し、ニールセン、ベートーヴェンとプロコフィエフを組み合わせたプログラムで好評を呼んだヴァンスカだが、今回はベートーヴェンの交響曲第8番とラフマニノフの交響曲第2番。聴きごたえのあるダブル交響曲プログラムが用意された。
ヴァンスカは1953年生まれ。クラリネット奏者としてキャリアをスタートさせた後、指揮者に転身し、82年にブザンソン国際指揮者コンクールで1位を獲得。ラハティ交響楽団で長年にわたり首席指揮者を務め、シベリウスの交響曲全集の録音他で国際的な名声を築いた。その後、ミネソタ管弦楽団でも音楽監督として大きな成功を収め、北欧の音楽ばかりでなく、ベートーヴェンやマーラー、ブルックナーなど幅広いレパートリーで注目を集めた。読響や都響とも共演を重ねており、日本の聴衆にはなじみ深い存在といってよい。
ベートーヴェンの交響曲第8番は軽快で、リズムの妙に焦点があてられた作品だ。ヴァンスカは機敏で明快な演奏で作品の魅力を伝えてくれるにちがいない。ウィーン古典派は東響にとって得意のレパートリーでもある。両者の化学反応が興味深い。一方、ラフマニノフの交響曲第2番ではロマンティシズムにあふれた楽想が生み出す雄大なドラマが聴きどころ。甘美な第3楽章アダージョは有名だ。終楽章は壮麗。ヴァンスカのパッションがオーケストラを燃え上がらせてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2026年5月号より)
オスモ・ヴァンスカ(指揮) 東京交響楽団 第741回 定期演奏会
2026.6/13(土)18:00 サントリーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
https://tokyosymphony.jp
他公演
2026.6/14(日) ミューザ川崎シンフォニーホール(044-520-0200)

飯尾洋一 Yoichi Iio
音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 https://www.classicajapan.com/wn/

