5月26日、東京オペラシティ コンサートホールで2013年度武満徹作曲賞本選演奏会が行われ、イギリスの作曲家ハリソン・バートウィスルの審査のもと、2013年度「武満徹作曲賞」の受賞者が決まった。
受賞者と作品は以下の通り。
【受賞者・作品】
第1位 マルチン・スタンチク(ポーランド)
SIGHS ─ hommage à Fryderyk Chopin (賞金100万円)
第2位 小林純生(日本)
The Lark in Snow (賞金80万円)
第3位 ホワン・リュウ(中国)
Zwei Landschaftsbilder (賞金60万円)
第3位 神山奈々(日本)
“CLOSE” to you to “OPEN”
「武満徹作曲賞」は、より創造的な音楽文化の可能性を育むため、東京オペラシティ文化財団が世界の次代を担う若い世代に新しい音楽作品の創造を呼び掛け、ただ一人の作曲家が審査員をつとめるというユニークさと、受賞者のその後の活躍などで世界的に知られている。
今年で15回目を迎えた今回の審査員ハリソン・バートウィスルは、第1位受賞マルチン・スタンチクの作品について、次のように語った。
「スタンチクさんの作品は、ある意味で非常に名技性を要求されるところがある曲です。楽器のさまざまな技法がお互いに上積みされていく。しかし全体としてはスタティックである。非常に名技性がある曲で、それは音楽の意識の点での(awarenessの点での)名技性がある」
また、第2位受賞の小林純生については、「小林さんの曲は、詩的な極端主義というものを感じました。それは色々ある音の素材を極端に切り詰める。それで美しく聴かせる技法が使われた。特にフルートです。弦楽以外のものが全て消えてフルートがさまざまな異なった声を出す、これが良かったと思います」と評した。
日本人で最高位となる第2位受賞の小林純生は受賞について「元々弦楽オーケストラのために書き始めたもので、それは武満徹の代表曲でもある《弦楽のためのレクイエム》にあやかりたいという気持ちで書き始めたものです。ちょうどこの曲を書き始めたのが20代後半という年齢で、武満徹が《弦楽のためのレクイエム》を書いていた年齢とほぼ同じでした。それで将来作曲家としてやっていけるのか不安もあったのですが、こうやって僕が一番望んでいた武満徹作曲賞の場で演奏して頂けて嬉しいです」と喜びを語った。
◆本選演奏会の模様はNHK-FMで放送される予定。
NHK-FM「現代の音楽」
2013年 6月22日[土]午前6:00 – 6:55/6月29日[土]午前6:00 – 6:55
*2回に分けて放送されます。 *放送日は変更になる場合があります。
武満徹作曲賞: http://www.operacity.jp/concert/award/index.php