【SACD】シベリウス&バーバー:ヴァイオリン協奏曲集/ルノー・カピュソン

 フランスの名手が奏でる20世紀のヴァイオリン協奏曲集。1歳違いのハーディングの指揮も新鮮な、気鋭の同世代共演によるアルバムである。カピュソンのヴァイオリンは、ビロードのような音色で芳醇かつ流麗だ。シベリウスは甘美な中にも緊張感を湛えた演奏。この相反する特質がこれまでにない表現を生み出しており、豊潤な音でじっくりと奏される第2楽章も、力感と推進力に満ちた第3楽章もいつになくパッショネイトだ。一方のバーバーは彼の音色にピッタリ。第1、2楽章の抒情美、第3楽章の鮮烈な技巧等を通して、同曲の魅力発見の喜びを与えてくれる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年5月号より)

【information】
SACD『シベリウス&バーバー:ヴァイオリン協奏曲集/ルノー・カピュソン』

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲/バーバー:ヴァイオリン協奏曲

ルノー・カピュソン(ヴァイオリン)
ダニエル・ハーディング(指揮)
スイス・ロマンド管弦楽団

ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13874 ¥3300(税込)